建設業界では2022年を境に、デジタル技術を活用したICT施工に対応するICT建機の中でも小型サイズの需要が急速に高まっているという。国が2016年から進めるi-Constrctionよりも前から、ICT施工に取り組んできた佐賀県の地場ゼネコン「政工務店」は、現在では40台以上のICT建機を現場で稼働させている。なぜ、地方の総合建設業がそれほど多くのICT建機を運用できるのか?また、国が進めるICT施工で受けられる建設会社の恩恵は果たしてあるのか?
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)の特設セミナーC会場では初日の22日、ヤンマー建機 販売促進部 専任課長 橋本和俊氏と、政(まさ)工務店 iCT事業部 部長 藤本竜太氏が「"輪をひろげる"政工務店とヤンマーが目指すICT」と題した講演を行った。
講演前半を担当したのはヤンマー建機の橋本氏で、小型ICT建機のニーズを解説した。
農業機械やディーゼルエンジンのイメージが強いヤンマーだが、建機事業でも100年以上の歴史を持つ。1968年に世界初の小型自走式ミニショベル「YNB300」を発売して以来、1972年の「YB600C」、1975年の「YB1200」、1993年の後方超小旋回ミニショベル「ViO」と、工事現場で当たり前に見かけるミニショベルの原型となるモデルを次々と世に送り出し、小型の建機市場を開拓してきた。特にViOシリーズは、2023年に発売30周年を迎えるロングセラーシリーズで、2024年5月に最新の7型(ViO30/35)を発売するなど、現在も進化を続けている。
橋本氏によれば、世界各国で都市化が進み、欧米を中心に小型建機の需要が10年間で爆発的に拡大している。一方、早くから都市化が進んだ日本では小型建機の需要に大きな変化はないが、橋本氏はICT化についてはまだまだ発展の余地があると指摘する。
1990年代に建機のマシンガイダンスシステムが開発され、2016年には国土交通省の建設現場でのICT活用を推し進める施策「i-Construction」がスタートした。ただ橋本氏によれば、「2019年ごろまでは、誰一人として小型建機のICTに需要があるとは考えていなかった」と振り返る。
潮目が変わったのは2022年ごろだ。2020年に小型建機向けマシンガイダンス/マシンコントロールサービスが登場すると、2022年ごろには橋本氏のもとにも「小型建機でマシンガイダンスシステムを使用したい」との要望が多く寄せられるようになった。橋本氏は当時の状況を「需要が顕在化した」と表現する。
最後に橋本氏は、今展の自社ブースで2D/3Dマシンガイダンスシステムを搭載した新型ViO30-7を展示しているとし、需要変化にヤンマー建機が迅速に対応している姿勢をアピールした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.