講演後半は、政工務店の藤本氏が自社のICT活用の取り組みを解説した。
「人、技術、そして挑戦」を企業スローガンに掲げる佐賀県を地盤とする総合建設業の政工務店がICT施工を検討し始めたのは、i-Constructionがスタートする5年前の2011年のことだ。業績の下降、働き手不足などの課題に直面し、今後も事業を継続するためには他社との差別化を図り、「オンリーワン」を目指すべきとの結論に至ったことがきっかけだった。
2012年にICT建機(ブルドーザーとバックホー)の導入を開始し、保有台数が徐々に増えてきた2015年には「ICT事業部」を設立。2017年にはICT事業部そのものを分社化し、ICTの測量と設計データ作成に特化したグループ会社「サンクスネットワーク九州」を立ち上げた。
2016年にi-Constructionがスタートすると、政工務店はICT活用工事の5項目(3次元起工測量、3次元設計データ作成、ICT建機による施工、3次元出来形管理、3次元データの納品)を全てを自社で完結することを目指し、手始めに測量機器の整備に取り掛かった。2016年には写真測量用のドローン(UAV)、その翌年には地上型レーザースキャナー(TLS)を導入。2021年にはUAV搭載レーザースキャナー(ULS)を保有し、元請けでも下請けでもICT活用工事の5項全てを実行できる体制を敷いた。
こうしたICTへのさまざまな取り組みが評価され、政工務店は2018年にi-Construction推進コンソーシアム会員の取り組み部門で国土交通大臣賞を受賞する。2021年には国土交通省 九州整備局のICTアドバイザー制度に登録し、自社だけでなく、地域でのICT施工普及にも力を入れている。
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