渡部氏が考える建機アフターサービスのための共通プラットフォームとは、少人数で複数社の機種に対応するための3つのシステムを備えたものだ。
その1つがデジタルガイダンスシステムだ。紙のマニュアルに代わって、インタラクティブにアフターサービスをガイダンスするスマホやタブレットを活用するというものだ。渡部氏が先進事例として引用したのが、クボタが2020年12月に発表した建機の故障診断アプリ「Kubota Diagnostics(ダイアグノスティックス)」だ。建機のメンテナンスや補償対応する際に、スマホで故障診断の手順をガイダンスしたり、点検や交換するパーツの位置を教えたりする機能を備えている。
2つ目は、メーカーからの遠隔支援システム。タブレットなどを利用して、建機メーカーに所属するエキスパートが遠隔地で作業する整備士を支援するシステムを想定している。
3つ目はパーツ流通システム。「メーカー各社がパーツ流通システムをバラバラに構築してしまうと、地方の建機整備の現場ではパーツの発注や取り寄せといったバックオフィス作業が増加する。業界共通のパーツ流通システムがあって、整備士のワンクリックで必要なパーツを取り寄せられれば、煩雑な事務処理から解放され、整備に充てる時間をより確保できるはずだ」(渡部氏)。
最後に渡部氏は、建機整備で協調できるならば、カナモトは自社保有建機以外の整備受託を前向きに検討するとの決意を表明した。
続いて壇上に登ったユナイト 笹原久之氏は、道路工事でのICT建機への提案として大型工事から小規模工事までのICT建機の活用を解説した。
ユナイトはカナモトグループの一員で、道路工事に特化した建機のレンタルと関連工事を展開する企業だ。東京に本社を置き、北海道から九州まで、全国51か所に事業所(工事部とレンタル事業部)を構え、特級建設機械設備技能士、ガス溶接技能者、フォークリフト運転者、建設機械管理士など、多種多様な専門技師を擁している。
笹原氏は、ICT建機の使用には人工や丁張の削減、施工の高度化などのメリットがあるが、コストが高額で小型建機への装着が困難、後付けする場合の溶接や部材加工が複雑(特にマシンガイダンス)などの課題があり、小規模現場でのICT建機普及を妨げていると話す。
笹原氏は、状況打破につながる自社が取り扱う製品やシステムを紹介した。はじめに採り上げたのは、米Hemisphere(へミスフィア)の日本法人ヘミスフィア ジャパン※と、ICTやクラウドを活用した測量機器などの情報機器の販売やレンタルを行う岩崎が共同で開発した「VR500」「VR1000」「GradeMetrix」だ。
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