スマホとアンテナで建設現場をcm単位で点群データ化 国交省の要領にも準じた「PIX4Dcatch RTK」Japan Drone 2024(1/2 ページ)

膨大な「点」の集合体で構成される点群データは、測量や建築の手法を変革するポテンシャルを持っている。しかし、ファーストステップとなるデータ取得のハードルが高く、なかなか参入に踏み切れない建設会社は多い。ドローンを飛ばすには資格を持った操縦者が必要だし、まともに使えるまでのデータ処理にはオルソ化などの専門知識と高性能PCも必要だ。Pix4Dが提案する新しい測量方法「PIX4Dcatch RTK」は、そうした悩みを抱えるユーザーでもスマホで手軽に使える3D点群データ化のソリューションだ。

» 2024年08月22日 16時18分 公開
[川本鉄馬BUILT]

 Pix4Dは、「Japan Drone 2024」(会期:2024年6月5〜7日、幕張メッセ)で、モバイル端末を活用した新しい3D測量の手法をPRした。専用アンテナを取り付けたiPhoneを持って歩き回るだけで、3D点群データを生成するための高精度のデータが取得できる。

フォトグラメトリーで点検対象や建設現場を点群データ化するPix4D

PIX4Dcatch RTKのソリューションを説明するPIX4D テクニカルセールスエンジニア 有賀アレクサンダー祐貴氏。手に持っているのが、RTK roverを装着したiPhone PIX4Dcatch RTKのソリューションを説明するPIX4D テクニカルセールスエンジニア 有賀アレクサンダー祐貴氏。手に持っているのが、RTK roverを装着したiPhone 写真は全て筆者撮影

 スイス発祥のPix4Dは、開発拠点を欧州に置き、グローバルでは12拠点で販売展開している。日本では、測量、土木、点検、農業、防災、災害対応などの分野で、ドローンや写真測量ソフトウェアの利活用が拡大すると見込み、2019年に日本法人として東京都渋谷にオフィスを開設し、製品の販売とサポートのビジネスを行っている。

 Pix4Dのソリューションは、フォトグラメトリーをコア技術としている。フォトグラメトリーとは、静止画である写真から3Dモデルや点群データを作る技術で、「SfM(Structure from Motion)」の別名や日本語では「写真測量」とも呼ばれている。

 Pix4Dは、フォトグラメトリーの分野でデータ取得から、クラウド、データ処理までをつなぐ各種アプリケーションをラインアップしている。このうち「PIX4Dcatch」は、点群データ取得のためのiOS/Andorid用アプリだ。点群データ作成までの具体的なワークフローは、画像取得から、2D/3D化の画像処理、3D化後の処理、CAD/GISソフトウェへのエクスポートまでの4ステップから成り、現地でのデータ取得は最初のステップとなる。

PIX4Dcatchから始まるワークフロー。データの取得から始まる4ステップから成る。PIX4Dcatchによって、現場の画像取得が手軽に行える PIX4Dcatchから始まるワークフロー。データの取得から始まる4ステップから成る。PIX4Dcatchによって、現場の画像取得が手軽に行える 

 PIX4Dcatchで、GPSのメートル単位からセンチ単位まで位置情報を向上させるRTK-GNSSを可能にする「PIX4Dcatch RTK」は、LiDARスキャナーの機能を備えたiPhoneやiPad、Android端末にRTK-GNSS用アンテナの「RTK rover」を取り付けて使う。RTK roverは、衛星から取得した位置データを周辺の電子基準点と照合し、精度の高い位置情報を算出して、モバイル端末で撮影した画像に付与する。

 RTK roverを装着したモバイル端末にPIX4Dcatchをインストールすれば、データを取りたい場所を歩くだけで精度の高い位置情報を持った3Dデータを取得できる。スマホだけでデータ取得の操作が完結するので、データ取得時に専門知識は一切いらない。その後は、Pix4Dの専用ソフトウェア「PIX4Dmatic」にエクスポートするか、クラウド「PIX4Dcloud」上で処理を施すことで、BIM/CAD(DXF形式)やGIS(SHP形式)との連携が可能になる。

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