土木設計の分野で、点群データの利用は一般化した手法となっている。しかし、取得した点群を設計に生かすには、変換や調整などで多くのステップを経なければならず、業務プロセスの隠れた負担となっていた。アイサンテクノロジーの「ANIST」は、こうした負担を大幅に軽減し、点群データの有効活用の場を広げる新しいアプリケーションだ。
アイサンテクノロジーは「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)で、2024年8月に発売を予定している点群データから現況平面図を作成できるアプリケーション「ANIST(アニスト)」を出展した。
ANISTを使うと、TLS(地上型レーザースキャナー)で取得したデータに解析ソフトによる点群処理を施すだけで作図にも使えるようになる。ANISTは、単一のアプリの中に点群描画とCAD図面作成の機能を持っている。そのため、点群編集やオルソ画像化、CADとの連携などの手間が掛からない。また、点群編集と作図の状態を同時に表示し、同じアプリの中で確認できる操作性も特長だ。
CADでの図面作成は、現場の点群データを重ねることでより効率化につながる。その場合は、点群で表現された空間データ上で、ポイントを指定したりトレースしたりして作図することになる。しかし、取得した点群データが見難いことも多く、作図に不要なオブジェクトが入り込み“ノイズ”となってしまうこともある。そのため、これまでは点群データからのCADによるポイントの指定やトレースには多くの労力と時間を要していた。
ANISTは、こうした点群の扱いに工夫を施し、CADによる図面作成でオペレーターが操作しやすい点群環境を実現した。特徴的なのが、点群をドットの集まりではなく、球体として表現している。点群を球体として表現する技術をアイサンテクノロジーでは「ボールド点群テクノロジー」と呼び、特許出願をしている。
点群データのドットを球体で表現し、点群データの密度が薄い箇所でもエッジ部分を分かりやすく表示する。視覚的にエッジ部分の判別ができれば、手動ではなく半自動でトレースできる。
ボールド点群テクノロジーは、点と点の隙間を埋めることで、物体の視認性を高める技術だ。点群を球体で表現することで、点群同士のつながりや奥行き、穴埋め、光による境界など、点群が何を表しているのかが明確になる。
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