i-Constructionで目標としている建設生産プロセス全体のデジタル化による抜本的な生産性向上は、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」、最終形の「DX」という流れをとる。デジタイゼーションは、これまで手作業で行っていたアナログ作業をデジタル化することで、ドローンによる測量は分かりやすい例だ。
ドローンを測量に使うと、これまで測量に3日を要し、その後のデータ整理に10人工(5日)必要だった2ヘクタールの測量が1時間で終了してしまう。成果品の作成も1人工しかかからない。
次のデジタライゼーションは、デジタイゼーションでデジタル化した要素技術を組み合わせる。土工では、測量、設計、施工、検査などの一連の作業で3次元データを横断的に利用し、全体効率化の底上げを図る。主な例としてはBIM/CIMの設計〜施工での一気通貫活用の他、ICT建機やレーザースキャナー、位置情報を複合的に用いるICT施工などだ。
最終段階のDXでは、建設だけではなく、国土、経済、自然などに関するさまざまなデータを統合的に管理し、現実空間をサイバー空間に再現して連動させる“デジタルツイン”の構築が可能になる。仮想空間の中では、都市計画や交通網の検討、防災対策など多様なシミュレーションが行えるだけでなく、新しい建設技術の検証にも使える。
建山氏は、ICTを建設業に導入することの意義で、「効率化と省人化」「多様な人材が活躍する場の創造」「精緻なマネジメントによる過剰の削減」「地方行政の改革誘発」を挙げる。
実例として、自律型ロボットによる省人化、屋根工事のシステム化による多様な人材の活用、精緻なマネジメントでトンネル内の風量を制御する例などを紹介した。
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