人材確保は、多くの業界で企業の頭を悩ます課題となっている。中でも建設業界は採用環境が厳しく、特に新卒を採るには、これまでにない新しいアプローチが求められている。多様な業界に特化した人材紹介会社のキャリア・ナビゲーションは、こうした現状に対し、“コンストラクション・キャリア”を略した「コンキャリ」のブランドで、建設業界に特化したリクルート支援を展開している。
キャリア・ナビゲーション 代表取締役 長嶋哲夫氏は「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)の特別セミナーで、「建設産業界に求められる新卒採用戦略-Z世代の採用手法について」と題して講演した。
キャリア・ナビゲーションは、2010年に設立後、2013年には建築/土木の学生向けの就活サービスを開始した。サービス開始から10年が経過し、学生や教授などの認知度も上がり、現在では土木系の学生と土木系の企業に向けた合同企業説明会を全国規模で開催。建築系学生にも、説明会やイベントを定期的に催している。
今回の講演では、長嶋氏が学生側と学生を採用する企業側の双方をよく知る立場から、Z世代採用の留意点や新しいアプローチを紹介した。
キャリア・ナビゲーションは、働き手不足が顕著とされて久しい建設業界で、10年以上にわたり、学生と建設会社をつないできた。長嶋氏は「今は、若年層を続々と採用し、10年後や20年後に第一線で活躍する担い手を確保している状況にある」と話す。
若手採用で重要となるのは、大学で建築/土木を専門で学ぶ学生に限定せず、中学生や高校生にも土木や建設業の魅力をアピールすることだ。こうしたブランディングのために、キャリア・ナビゲーションでは、学校の授業に“出前”で建設業界の魅力を中高生に伝えたり、学生の親にも賛同してもらったりする活動を続けている。他にも高校生や中学生と、フィリピンの離島で井戸を掘るインターン体験も計画している。
建設業界が、かつての業界イメージを払拭できていない側面もある。代表的なのが“3K”のネガティブイメージ。「きつい、汚い、危険」の頭文字をとった3Kだが、企業側が口にしてしまうこともある。しかし、学生は建築/土木の仕事に、3Kのイメージを抱いておらず、3Kを知らないことも多い。
土木分野は3Kではなく、学生側に「インフラ構造物=仕事ができて当たり前」や「壊れたら問題で、社会的にも怒られる」のイメージを抱いているという。長嶋氏は「学生側に自信の無さがあるのかもしれない。企業側で土木やインフラ、建設業の魅力を発信し、自分にもできると自信を持たせなければいけない」と語った。
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