東急不動産は、リアルとデジタルを融合し、1拠点で複数のマンションを販売できる「統合ギャラリー」を運用するなど、分譲マンションサプライチェーンのCO2排出量削減を推進している。統合ギャラリーを開設した2023年9月から2023年度末までに、約1000トンのCO2排出量を削減した。
東急不動産は2024年7月3日、新築分譲マンションブランド「BRANZ(ブランズ)」の統合マンションギャラリー「東急不動産BRANZギャラリー表参道」を拠点に分譲マンションの販売方法を変更した結果、販売サプライチェーンにおけるCO2排出量を約1000トン削減できたと発表した。
東急不動産は従来、BRANZの物件ごとにマンションギャラリーを建設し、販売を行っていた。2023年9月に、リアルとデジタル技術を融合し、1拠点だけで複数の物件を販売できるBRANZギャラリー表参道の運営を開始。これにより、個別にマンションギャラリーを建設、解体する際のCO2排出量を削減している。
CO2排出量算出にあたっては、電気利用量など自社使用分の削減効果(スコープ1、 2)に加え、マンションギャラリーの建設/解体/家具調達など自社以外の削減効果(スコープ3)も対象としている。個別のマンションギャラリーを建設して販売した場合のサプライチェーンをベースシナリオとして、統合ギャラリーとの差分を算出し、2023年度末時点までの累計削減量を測定した。
東急不動産は今後も継続して削減量を算出するとともに、削減効果をギャラリー施設運営におけるコミュニケーションツールとして活用し、環境経営に生かしていく。
BRANZギャラリー表参道では、リアルとデジタルの体験を組み合わせ、来場者に検討物件の部屋のイメージをよりクリアに持ってもらえるよう、さまざまな工夫を施している
ギャラリーで販売する物件は、アクセンチュアの協力のもと、物件ごとに外観や専有部の高精細なデジタルツインを制作している。ギャラリー2階の「DigitalGallery」では湾曲LEDビジョンを通じて、検討物件の空間を疑似体験できる。
また、BRANZのグレードの違いや、天井の高さ、帖数の違いなど、物理的/空間的に把握したい内容をリアルで体感できる「コンセプトルーム」も用意。バルコニー部分にはLEDビジョンを設置し、検討物件の住戸内からの眺望写真を確認できる。
この他、同ギャラリーは環境の取り組みとして、床や壁、共用廊下のフローリングやデザイン家具などに、グループ企業の間伐材やペットボトルの再生繊維など、環境に配慮した素材を使用した。使用する電気は屋上に設置した太陽光パネルに加え、東急不動産が開発/運営する発電所で作られた再エネ100%による施設運営を実現している。
東急不動産は、DXによる顧客接点の高度化による感動体験の創出を推進しており、マンション販売ではデジタルコンテンツをベースとした販売活動への転換を進めている。今回の販売拠点の集約もこの一環。今後もリアル体験とデジタル体験が融合した販促方法を活用していく。
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