LED照明を他店舗でリユースできるか パナソニックが札幌で資源循環型ビジネスモデルに挑むLED(1/5 ページ)

パナソニック エレクトリックワークス社は、デジタル技術を活用したLED照明器具のリユース(再利用)に取り組んでいる。2025年度の事業化を目指し、事業モデルの構築を進める。

» 2024年06月12日 10時01分 公開
[黒岩裕子BUILT]

 パナソニック エレクトリックワークス社は、照明器具のリユース(再利用)、リサイクル(再資源化)を通じた「資源循環型ビジネスモデル」の開発を推進している。2023年度には環境省の実証事業の一環として、コープさっぽろの店舗でLED照明器具のリユースなどを実施し、環境面と経済面の両面から事業性の評価を行った。今後はさらに事例を重ねながら事業モデルの構築を進め、2025年度の事業化を目指す。

 実証実験では、LED照明を導入済みの店舗から設備更新のために取り外した照明器具を、蛍光灯器具を使用している店舗に移設し、リユースできるかを検証した。リユース後の性能を確認する他、廃棄する蛍光灯器具の再資源化も実施した。パナソニック エレクトリックワークス社は2024年6月3日、札幌市内での実証事業の取り組みを報道陣に公開した。

コープさっぽろ ひばりが丘店に導入したリユース照明 コープさっぽろ ひばりが丘店に導入したリユース照明  筆者撮影

LED照明器具の更新時に廃棄せず、他店舗でリユース

 照明器具の更新は、製品寿命によってではなく、店舗改修などに合わせて行われるのが一般的だ。取り外した照明器具は使用可能かどうかにかかわらず一律で廃棄されるため、資源循環が十分とはいえない状況にある。また、LED照明は従来型の照明と比べて導入コストが高いことから、市場の約半数の事業者は未だにLED照明よりも消費電力が多い蛍光灯器具の使用を継続しており、脱炭素の観点でも課題があった。

 パナソニック エレクトリックワークス社が採択された環境省の実証事業は、デジタル技術などを活用して脱炭素と資源循環を同時に達成する「資源循環型ビジネスモデル」について、その効果を試算するために必要なデータの収集と整理を行うもの。

 今回の実証実験では、明るさや消費電力の少なさといった性能を重視するユーザーのLED照明器具を更新する際に、デジタル技術を活用して製品のリユースの可否を見極めたうえで、コストを重視するユーザー向けにリユースを行った。また、リユースが不可能な照明器具はリサイクルすることで、原材料の調達を最小化する循環型ビジネスモデルについて検証した。

実証の流れ 実証の流れ 提供:パナソニック エレクトリックワークス社
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.