FAROの「Orbis」は、移動/固定を問わず、高い精度で3Dスキャンができるモバイルレーザースキャナーだ。3D測量は、近年需要が高まっている現場を3Dデータ化するデジタルツインで欠かせない技術。Orbisは、従来のレーザースキャンよりも約10倍の速さで、詳細かつ正確な空間データを取得できる。
米フロリダ州に本社を置くFAROの日本法人ファロージャパンは、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2024)」(会期:2024年5月22〜24日、幕張メッセ)で、新型の3Dモバイルスキャナー「Orbis(オービス)」を展示した。Orbisは、ボタンを押してデバイスを持って歩くだけで360度画像のスキャンが可能になり、より精度の高い固定置きにも対応し、トータルステーションのように基準点も簡単に取得できる。
Orbisは、FAROが2022年に買収を発表したSLAM技術を保有していたGeoSLAMとFAROの技術が融合した3Dモバイルスキャナー。そのため、他社製品に対し、スキャンの精度やスピードで優位性がある。
Orbisの機能面で特に注目すべきは、その精度だ。移動中や静止時の3Dスキャンに対応していながら、スキャン精度は移動しながらのスキャン(モバイルスキャン)時で5ミリ、静止した状態では精度2ミリでデータを取得する。
レーザー光で距離を測定するLiDAR SLAMを備え、常に現在の位置情報を正確に把握している。そのため、スキャナーを持って建築物の内部や外部を歩き回るだけで位置情報を含むデータが得られる。スキャナーは手に持ち、データロガーとバッテリーは肩から下げるスタイルで移動する。重さは、スキャナーが2.1キロ、データロガーとバッテリーで合計1.5キロ
精度の高い3Dスキャンは、固定型のスキャナーが使われることが多い。しかし、スキャンの都度、機器を移設する必要があるため、作業に時間がかかってしまう。Orbisのモバイルスキャンであれば、固定スキャナーに比べ約10倍のスピードでスキャンが完了する。
移動スキャンでも、Orbisのスキャン精度であれば良好な点群データが得られる。しかし、目的によっては、さらに高精度のデータが求められる場面もあるだろう。そこで威力を発揮するのが、Orbisが備える固定スキャンモードだ。FAROは、固定スキャンモードによるデータ取得を「フラッシュスキャン」と呼んでいる。
一般的なモバイルスキャナーは、移動しながらスキャンを行うために移動方向(縦方向)に対する解像度が粗くなる。Orbisのフラッシュスキャンは、2ミリの精度でデータを取得し、対象物や建物などの“キモ”の部分を詳細に測定できる。鮮明なデータ取得が可能になる。
FARO のブースでは、従来のモバイルスキャナーと、Orbisのフラッシュスキャンを併用して取得した点群データを比較した。
Orbisにはスキャナー上部に360度カメラが付いていて、モバイルスキャン中の1秒に1回、周囲の写真を撮影する。色の情報は、カメラデータを活用して着色している。
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