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» 2020年05月25日 10時00分 公開

BAS:非常時だけでなく平常時の混雑も解消、大成建設が開発した「人流シミュレーション」

大成建設は、建物内で非常時の避難誘導に関する計画策定や商業施設での回遊性の定量的評価などを可能にする人流シミュレーションシステムを開発した。新システムには、歩行者の個人属性に加え、歩行状況なども設定する機能が実装されており、商業施設やビル以外にも、マンションやインフラ施設など、あらゆる施設への適用が想定される。

[BUILT]

 大成建設は、建物内で歩行者の属性を考慮し、災害発生時の避難計画や平常時の混雑解消など、歩行者の行動を予測するマルチエージェント型人流シミュレーションシステム「T- MultiAgent JINRYU」を開発した。

建物内部状況や経路など、歩行者個々の避難状況を再現

緊急時のオフィス内からの移動状況 出典:大成建設

 これまでにも、歩行者の属性を考慮して動線を評価できるマルチエージェント型シミュレーションは適用されてきた。しかし、多様な歩行者の行動を詳細に再現するには、経路の熟知度設定やエレベーターを待つ行列形態など、複数機能を組み込む必要があり、幅広い用途に応じる仕組みを構築することは困難だった。

 T- MultiAgent JINRYUは、平常時での歩行者のエレベーター、エスカレーターでの移動、施設内の混雑や行列など、実際の利用状況を再現する機能を有している。人の動きを再現したデータに基づき、回遊性を事前に検証することで、有効な導線計画など施設の活性化向上につなげられる。

 また、システム上には、BIMモデルをベースに、建物内部の壁、什器の形状やエレベーター、階段などに加え、歩行者の年齢や性別、歩行能力、身体寸法といった個別の特徴を示す属性データ、さらに目的地までの経路データなどを設定できる。例えば、避難時に車いす利用者など移動速度の異なる避難者が混在する場合の他、高齢者が階段を昇降する際の疲労に伴う歩行速度の低下なども想定することが可能なため、さまざまな施設での歩行者個々の避難状況をシミュレートすることが実現する。

解析フロー 出典:大成建設

 非常時の検討では、煙や浸水から逃れる際の煙濃度や浸水深さに応じた歩行速度の低下状況を示せ、火災時の煙拡散シミュレーションや豪雨時の浸水シミュレーションと組み合わせることで、通行不能箇所の回避に役立てられるなど、BCP対策で効率的な避難誘導方法を立てられる。

施設内での人流シミュレーション状況 出典:大成建設

 大成建設では、T- MultiAgent JINRYUを商業施設や大規模集客施設だけでなく、超高層オフィスビル、集合住宅、地下インフラ施設などからの避難や施設自体の有効的な運用にも適用していくとしている。

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