高機能な建材の普及を目的に、省エネ法のもとで運用されている「建材トップランナー制度」。政府では今後、中高層住宅・大中規模建築物用のサッシ・複層ガラスを建材についても、トップランナー制度の対象としていく方針だ。
省エネ法では2013年の改正以降、性能の高い建材製品を市場に普及させることを目的として、窓(サッシ及び複層ガラス)や断熱材を対象とした「建材トップランナー制度」の運用を開始している。同制度では、生産量または輸入量のシェアが概ね1%以上の事業者に対して、製品ごとに設定された目標年度までに目標基準値を達成することを求めている。
サッシ及びガラスはその用途により、戸建住宅や低層共同住宅等(以下、「戸建・低層共同住宅等」という)に使用されるものと、中高層住宅や大中規模建築物(以下、「その他建築物等」)に使用されるものに大別されるが、現行の建材トップランナー制度では、主に戸建住宅等に用いられるサッシ及びガラスのみがその対象となっている。
2050年のカーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向け、改正建築物省エネ法では「その他建築物」における省エネ基準の引き上げを予定していることから、資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会「建築材料等判断基準ワーキンググループ(WG)」では、その他建築物に使用されるサッシ・ガラスについても、建材トップランナー制度(以下、TR制度)に追加する検討を開始した。
現行のTR制度では、主に木造の戸建住宅や低層共同住宅、小規模建築物向けに使用されるもの(木造用サッシ)を対象としているため、中高層住宅や大中規模建築物(その他建築物等)では、それら以外の非木造用サッシを対象とする。
関係業界への調査の結果、その他建築物等用サッシの材質としては「1.アルミSG」「2.アルミPG」「3.アルミ樹脂複合サッシ」「4.樹脂」の4種類で99.5%をカバーするため、これら4つの材質を対象とする。
戸建住宅等用サッシのTR制度では、開閉形式についても、「引き違い」「FIX」、「上げ下げ」「縦すべり出し」「横すべり出し」の5形式を指定したが、「その他建築物等」用サッシでは開閉形式は区分しないこととする。これは、「その他建築物等」用サッシではオーダー品が中心であるため、建築研究所公表の計算式(表2)を使用する予定であり、当該算出方法において、性能値は開閉形式の影響を受けないためである。
なお「防耐火用サッシ」は、戸建住宅等用では普及が限定的であることから現行の建材TR制度の対象外とされているが、「その他建築物等」では一般的に使用されるものであるため、対象に含めることとする。
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