「その他建築物等」用サッシの性能値を改善するルートとしては主に、以下の2つの手法が想定される。
サッシの性能値改善のためには、単板ガラス用サッシの出荷をなくすことが理想であるものの、空調が不要な工場及び作業所、倉庫等については、単板ガラス用サッシの出荷が一定程度残ると考えられる。2018〜2022年度の実績値の推移に基づき直線的に複層化が進むと仮定した場合、2030年度における単板ガラスのシェアは、18.9%と推計できる(図4)。
また同じく、サッシの性能値改善のためには、アルミサッシの出荷をなくすことが理想であるが、現在(2022年度)の「その他建築物等」用サッシにおけるアルミサッシのシェアは96.9%であり(表4)、今後も一定量のアルミサッシの出荷が残ると考えられる。
「その他建築物等」のうち、中高層共同住宅や病院などの人間が居住する建物においては、比較的高性能な窓建材が採用される傾向があり、建物用途別にサッシの樹脂化が求められる割合は異なる。目標基準値を設定するにあたっては、どの建物用途について、どの程度の樹脂化を進めると考えるかが今後の論点となる。
「戸建・低層共同住宅等」用の複層ガラスの建材トップランナー制度においては、すでに「ガラス総板厚み10mm以下の複層ガラス」、「ガラス総板厚み10mm超の複層ガラスのうち片側が3〜4mmのガラスを使用しているもの」、「三層以上の複層ガラス」が対象とされていることから、「その他建築物等」ではこれらとの重複を避け、「ガラス総板厚み10mm超のガラスのうち、両側のガラス厚みが4mm超の二層ガラス」を追加する。
また、熱線反射ガラスを使用している複層ガラスについては、「戸建・低層共同住宅等」用では市場での使用割合が小さいため対象外であったが、「その他建築物等」においては一般的に使用されているため、トップランナー対象に含めることとする。
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