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トンネル工事の安全性を向上する「切羽予報」を開発 フジタ山岳トンネル工事

フジタはと探査技術サービスを提供する地球科学総合研究所は、山岳トンネル工事の安全性向上を目的に、切羽の地質などの状態の変化を予測する「切羽予報」を開発した。毎日数回行う発破時の振動データをその都度取得し、切羽の性状変化をリアルタイムに予測して、天気予報のように関係者に共有する。

» 2024年04月08日 15時00分 公開
[BUILT]

 フジタは2024年3月27日、山岳トンネル工事の安全性向上を目的に、探査技術サービスを提供する地球科学総合研究所とともに、切羽の地質などの状態の変化を150メートル先まで予測して共有する「切羽予報」を開発したと発表した。毎日数回行う発破時の振動データをその都度取得し、切羽の性状変化をリアルタイムに予測して、天気予報のように予測。晴れは安全、曇りはやや注意、雨は厳重注意として作業関係者のスマートフォンなどに通知する。

切羽予報の画面イメージ 切羽予報の画面イメージ 出典:フジタプレスリリース

切羽の性状変化を毎日予報で、崩落リスク低減

 従来の切羽性状予測(連続SSRT)は複数の発破から振動データを蓄積し、複数地点の振動データを記録して波形処理する必要があるため、結果を得るまでには時間がかかり、リアルタイムの予測が困難だった。切羽予報では、トンネル坑内の切羽から一定の距離に、専用の振動記録装置を1台設置し、1つの振動データを波形処理する手法を確立した。切羽近傍の地質変化面から戻ってくる反射波を抽出、分析して、1回の発破振動から切羽の性状を予測する。

 予報は計測した振動データをもとに自動更新して、作業当日や翌日の切羽予報を専用のWebサイトで配信する。スマートフォンやタブレット端末からいつでも閲覧できるため、リアルタイムに作業へ反映することで崩落リスクを低減し、切羽付近での作業の安全性を高めた。さらに、結果良否の投票機能を搭載し、結果を蓄積して予測精度の向上を図る。

 今後、山岳トンネル工事施工中のセーフティアセスメントに活用するなど積極的な導入を進める。多数の現場に適用して大量の切羽予報データを取得することで、AIを活用した予報精度の向上などにも期待できる。

切羽予報のシステム図 切羽予報のシステム図 出典:フジタプレスリリース

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