本連載では、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA) 専務理事 成田一郎氏が「JFMA調査研究部会のFM探訪記」と題し、JFMA傘下で、マネジメントや施設事例、BIM×FMなどの固有技術をテーマにした合計18の研究部会から成る「調査研究部会」での研究内容を順に紹介していく。第9回は、年に1度のFMの祭典「第17回 日本ファシリティマネジメント大会−ファシリティマネジメント フォーラム 2023−」の80以上の講演のうち、18の調査研究部会の発表やDX/BIM関連の講演をメインに紹介する。
誤解されている方も多いが、「ファシリティマネジメント(FM)」は単に維持管理を指す言葉ではない。維持管理は大切な要素ではあるが、それだけではなく、本質的な意味はファシリティのライフサイクルを通して、全ての段階で最適にマネジメントすることにある。発注者側の発想であり、つくる側の発想ではない。つくる側の立場では、設計や施工に重きを置くが、それもライフサイクルの一部分にしかすぎない。
発注者の経営視点からすれば、ファシリティ(もの)を経営資源(人、金、情報、もの)の1つと捉え、第4の「経営資源」とみなし、効果的にマネジメントすることで、第4の経営基盤とすべきだ。
さらに、地球環境の観点で見ると、地球上に存在するものを、「自然環境(natural environment)」「人工環境(built environment)」「人間」の大別して3つに分けて考えることができる。これらのうち、人工環境をファシリティとすれば、3つの存在が互いに良好な関係で存在できるようにマネジメントすることが求められる。それもファシリティマネジメントの大きな役割だと私たちは考えている。こうした概念は、現在でいうSDGs(Sustainable Development Goals)やESG(Environment Social Governance)の発想につながるだろう。
冒頭より壮大な話となったが、そうしたFMの広がりを感じられるJFMA主催の「第17回 日本ファシリティマネジメント大会−ファシリティマネジメント フォーラム 2023−」を案内したい。
2023年のテーマは、「FM進化論−DX・SX・そして未来へ−」。法政大学大学院 教授兼一橋大学 名誉教授で、JFMA理事の米倉誠一郎先生の基調講演をはじめ、英国PLP Architectureの相浦みどり氏らの特別講演など、2023年3月13日までオンデマンド配信で、今回紹介する18の調査研究部会を含めて、計80以上の講演をなんと無料で配信しているので、ぜひ視聴いただきたい。
プログラムのダウンロードと申込みは下記URLから。
⇒ https://www.jfma.or.jp/FORUM/
★連載バックナンバー:
本連載では、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が「JFMA調査研究部会のFM探訪記」と題し、日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)傘下で、マネジメントや施設事例、BIM×FMも含めた固有技術をテーマにした合計18の研究部会から成る「調査研究部会」での研究内容を順に紹介していく。
それでは、フォーラムで発表する18の調査研究部会を図1で紹介しよう。
続いて、18部会の属する3つの研究部会について解説していく。まず、「マネジメント研究」の8部会が発表する講演テーマは下図2の通りだ。
次に、「施設事例別研究」の4部会が発表する講演テーマ。
「固有技術研究」の6部会が発表する講演テーマは下図4の通り。
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