デジタルツールに苦手意識を持つ従業員にも抵抗なく使えるように、デザインにはこだわっているという。例えば年末調整でも「自社以外から給与収入はあるか」「保険料の控除を申告するか」といった質問に対して、「はい」「いいえ」などのボタンを押して、アンケートに回答するように手続きが行える。操作者が迷わず直観的に答えられる設計を意識しているという。
芝田氏は「労務の領域では、担当者以外は聞きなれない専門用語や理解が難しい内容もある。操作の使いやすさ以外にも、できるだけ言葉をかみ砕き、専門知識がなくても使えるようなシステムになるよう心掛けられている」と説明した。
SmartHRはスマートフォンアプリも用意している。従業員自身のスマートフォンにダウンロードして設定すれば、給与明細の発行や書類の提出依頼などをポップアップで通知する。「建設業界をはじめ、本社に出勤せずに現場に向かったり、移動が多かったりする職種で特に重宝されている。普段から使い慣れているスマートフォンから簡単に操作できるため、抵抗なく使ってもらいやすいようだ」(芝田氏)。
SmartHRの導入により労務手続きや管理業務を削減し、創出した時間を教育コンテンツの作成などに充てて、人材活用につなげている企業もあるという。
中小企業では、労務管理の効率化を主目的にSmartHRを導入するケースが多いが、芝田氏は「社内で人事データが集約されておらず、十分に活用できていないという課題を認識している企業も少なくない。SmartHRはタレントマネジメントまで一気通貫で行えるため、将来のデータ活用を見据えて選択する企業も増えている」と話す。
SmartHRは拡張性の高さも特徴で、従業員データベースの個人のページで、保有する資格やスキル、過去に経験した現場や工事の種類、研修の受講歴などを一元的に管理できる。この情報をもとに従業員の配置を検討する他、管理職の経歴をもとにした育成プランの検討、採用計画への活用も可能だ。
芝田氏は「建設業界でもDXが進展し、現場でのICT建機やドローンなどの活用に加え、施工管理などにもデジタル技術は活用されている。経営の基盤となる人材育成、活用を強化するため、労務管理の効率化は急務だ。労働人口が不足する中、従業員がパフォーマンスを最大限発揮できるような環境整備が重視されており、タレントマネジメント機能の活用はその一助になると考えている」と強調した。
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