大成建設は、「データ管理基盤」と「データ活用基盤」で構成する全社でのデータ利活用を実現する統合プラットフォーム「Taisei-DaaS」を構築した。施工管理でのリスクマネジメントの高度化を図るとともに、データドリブンの経営分析にも活用する。
大成建設は、「経営基盤のDX」の一環として、建設工事の企画提案から設計、施工、リニューアルに至る“建設ライフサイクル”の各工程で発生するデータをシームレスに連携し、全社でのデータ利活用を実現する統合プラットフォーム「Taisei-DaaS(Taisei-Data as a Service)」を構築した。
デジタルデータの利活用は、経営ダッシュボードや作業所業務を支援する作業所業務支援システム「作業所ダッシュボード」で既に展開しているが、統合基盤化により、さまざまな業務領域で経営判断や業務高度化にもつながる。そのため、顧客ニーズに対して安全、迅速かつ的確に対応が可能となる。
大成建設は2020年からDXの全体構想検討を開始し、「中期経営計画(2021〜2023)」で、重点課題の一つとして「DXにより生産システムの変革と働き方改革を実現する」を掲げ、全社DX推進に取り組んでいる。DX方針は、「情報(デジタル技術とデータ活用)を新たな経営資源として活用する」ことを重要と捉え、社内の蓄積データ資産を横断的に利活用できる統合プラットフォーム「Taisei-DaaS」を構築した。
Taisei-DaaSは、データ利活用を支える統合基盤で「データ管理基盤」と「データ活用基盤」で構成する。このうち、データ管理基盤は、事業に関わる多様なデータを蓄積し、業務要件に沿った形へ加工または変換した上で、データ利用者に必要なデータを提供する機能となる。
データ活用基盤は、社内データの所在を検索するポータルサイト「データカタログサイト」、データ関連のドキュメントを集約したポータルサイトなど、データ利活用促進を目的としたデータ利用者を支援する。
Taisei-DaaSは、リアルタイムデータを取得し、統合的に可視化し、施工管理領域でのQCDSE(Quality:品質、Cost:原価、Delivery:工期、Safety:安全、Environment:環境)のリスクに対する早期検知/分析/予測に用い、リスクマネジメントの高度化を図る。また、グループ会社も含めたデータ連携に加え、オープンデータなどの社外データを積極的に取り込み経営分析にも活用する。
現在は、Taisei-DaaSを起点とした社内データの利活用に向けた取り組みを進めており、今後はデータ収集や活用範囲の拡大でさらなる効果を見込む。Taisei-DaaS自体も、時代の変化に適応していくための機能拡張と連携データ拡充を繰り返し、データ利活用に基づく、建設業におけるDXのさらなる深化や発展に寄与していく。
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