全社一丸で“西松DXビジョン”を目指す西松建設に聞く、600TBものデータ共有術とは?クラウド(1/3 ページ)

西松建設は、クラウドストレージにBoxを採用し、全社一丸で進める“西松DXビジョン”のデータ基盤と位置付けている。これまで散在していた膨大な建設プロジェクトに関わるデータをBoxに集約することで、管理の負荷が低減し、社内だけでなく協力会社や工事関係者との情報共有、さらには場所を選ばない柔軟な働き方も実現した。

» 2023年03月24日 17時17分 公開
[BUILT編集部BUILT]

 建設業界の足元を見ると、2024年4月に適用される時間外労働の上限規制への対応が間近に迫ってきている。働く環境の改善が待った無しの状況にあり、建設業各社では作業効率や働く環境の改善に向けた取り組みを活発化させている。

 そうした中で西松建設は、2022年6月に策定した“西松DXビジョン”のスローガンのもと、「現場」「ワークスタイル」「ビジネス」の3つの空間を対象に、デジタル技術を用いた空間のイノベーションに取り組んでいる。3つの空間のイノベーションとは、「現場力がシンカしたスマート現場」「仮想と現実が融合した一人ひとりが活躍できるワークスタイル」「エコシステムで新しいサービスや空間を創り出すビジネス」の実現だ。そこで重要になるのが、理想とする“空間”を創出し、情報共有することとなる。

 クラウドストレージサービスのBoxは、こうした西松建設の空間イノベーションをデータ共有の観点からサポートしている。Boxを活用すると、建設業界の働き方がどう変化するのか。Boxを活用することで3つの空間のイノベーションにどう役立てているか、西松建設のDX推進を戦略立案から、実行までを担う「DX戦略室」の担当者に具体的な活用例を聞いた。

西松建設 DXの担当者室へのインタビュー 西松建設 DX戦略室の担当者へのインタビュー

数あるクラウドストレージの中から、なぜBoxが選ばれたのか?

 西松建設では、2022年10月時点で600TBものデータをBoxのクラウドに格納し、本社/支社の業務に加え、協力会社や工事関係者との情報共有基盤としている。

西松建設 DX戦略室 ICTシステム部 部長 堀泰久氏 西松建設 DX戦略室 ICTシステム部 部長 堀泰久氏

 西松建設 DX戦略室 ICTシステム部 部長 堀泰久氏は、Box導入の一番の理由を「日々、扱うデータ量が増えており、ファイルサーバのディスク容量が逼迫(ひっぱく)してきたため」と話す。実際に、600TBという数字は、2018年比で約9倍にも膨れ上がったことを示す。Box導入以前は、オンプレミスでファイルサーバを構築し、本社/支社のデータを格納していた。しかし、サーバの容量が不足したため、サーバのリプレースを含めて検討した。Boxの採用は、今後のデータ活用の可能性を見据えた結果だという。

2022年のBoxへのアップロード数(左)とダウンロード数(右)の推移 2022年のBoxへのアップロード数(左)とダウンロード数(右)の推移

 本社/支社に関するデータの格納容量を拡大する目的で導入したBoxだが、本社や支社以外で埋もれていたデータも利活用できるようになった。その中でも特にメリットがあったのは、これまで現場事務所で管理していた工事関連の膨大なデータ活用だ。

 西松建設では、Boxの導入前、複数の現場事務所にそれぞれファイルサーバの代わりとなるネットワーク接続されたHDDのQNAP製NASを設置し、データは現場事務所ごとに管理する運用を採っていた。言い換えると、データが複数のNASやサーバに分散している状態だった。

 各現場事務所では、現在でもNASが稼働している。しかし、Box導入後は、QNAPのソフトウェアでデータが自動的にBoxにもコピーされるので、データの冗長性が強化された。

 データがBox上にコピーされていれば、オンラインでBoxにアクセスすることで現場のデータを参照可能になる。在宅勤務でのデータ確認はもちろん、現場にいる社員が図面や関連書類をその場に居ながらにして閲覧するのにも都合が良い。Boxに日々データが蓄積されることで、リモート業務がより効率化された。

 Box導入後には社内からは、「手持ちのiPhoneで業務資料を閲覧できて便利」「取引先との共有が楽になった。Boxが使えないと取引先に言われると逆にストレスになるぐらいだ」「海外駐在の職員からも好印象を持って受け入れられつつある」といった声が寄せられた。

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