半導体工場のクリーンルームには、コンタミネーション(汚染)やパーティクル(粒子)のない製造環境を作るために、細心の注意と清浄対策が必要である。クリーンルームの地下には、高度な化学物質管理および浄水システムを備えた複数階建てのサブファブがある。クリーンルーム上部のスペースや屋上も、空調および除害システムに使用される。
Liss氏は、「これらのことから言えるのは、半導体ファブの建設作業員には、ファブを建設し、関連するユーティリティーを設置するための専門的なスキルとトレーニングが必要だということだ」と述べている。
米国の半導体市場調査会社であるObjective Analysisの主席アナリストを務めるJim Handy氏は、1980年代半ばに米国の半導体メーカーであるIDT(Integrated Device Technology、2018年にルネサス エレクトロニクスが買収)のカリフォルニア州サリナスにある真新しいファブで働いていた頃を振り返り、「ファブがシリコンバレーになかったため、建設の問題に直面したと聞いたことがある」とEE Timesの独占インタビューで語った。
Handy氏によると、Walmart(米の大手スーパー)も同じ建設技術を使っているかもしれないが、ファブにははるかに高度な点が数多くあるという。同氏は、「ファブは、地震やその他の衝撃を吸収するために、クッションの上に建てられる場合が多いが、これはほとんどのティルトアップ工法では行われていない」と述べている。
Handy氏によると、IDTがサリナス工場を建設した際、組合の規定によって地元の配管工を雇わなければならなかったという。「地元住民は、半導体工場で複雑な配管工事を行うためのトレーニングを受けていなかったので、IDTはシリコンバレーで地元住民をトレーニングするための費用を支払わなければならなかった」と同氏は述べている。
Handy氏は、「ファブでは、空調と空気ろ過は同じことだ。小売業のビルや病院で使用されている、空気中の病原体を減らすことを目的とした暖房、換気、空調(HVAC)システムと比較すると、非常に高価である」と述べている。
半導体工場固有の要件にはこの他、漏れたヘリウムの回収システムがある。同システムは、ヘリウムの配管をひと回り大きな配管の外層でシールドして、漏れたヘリウムを吸い出す。空気と接触すると発火するシランのようなガスがパイプの破損から漏れた場合に備えた緊急遮断システムもある。ただし、「こうしたシステムは、配管工が扱うようなものではない」(Handy氏)
Handy氏は、「ほとんどのファブは冗長電源を使用しているが、ほとんどの地域には、その扱い方を知っている電気技師がいない。近くにデータセンターや他のファブがない場合は、恐らく、電気システムをセットアップするために人材を招かなければならないだろう」と付け加えた。
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