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» 2022年05月13日 09時00分 公開

残コン・戻りコンゼロとCO2削減を建設現場で実現するシステムを確立、鹿島建設導入事例

鹿島建設は、東京大学大学院工学系研究科 野口教授の指導を受け、建設現場で発生する残コンクリートと戻りコンクリートを、建設現場内でCO2を利用してゼロにするシステムを確立した。今後は、新システムで使用している散水装置付き振動式ふるいによる分離能力の向上などで、建設現場への適用を進めていく。将来は、新システムで利用する液化炭酸ガスに建設現場で排出される重機などの排ガスを用いて、より一層のCO2削減を実現する。

[BUILT]

 鹿島建設は、東京大学大学院工学系研究科 野口教授の指導を受け、建設現場で発生する残コンクリート※1(以下、残コン)と戻りコンクリート※2(以下、戻りコン)を、建設現場内でCO2(液化炭酸ガス)を利用してゼロにするシステムを確立し、実証実験を行ったことを2022年4月26日に発表した。

※1 残コンクリート:現場で荷下ろしされた後、アジテータ車に残ったコンクリート。

※2 戻りコンクリート:アジテータ車から荷降ろしされずに出荷元の生コンクリート工場に戻されるコンクリート。

濁水処理装置に簡易な振動式ふるいなどを追加することで構成

 建設業の工事現場でさまざまな理由から発生する残コンと戻りコンは、これまで大半が再利用されることなく処分されてきた。こういったコンクリートの無駄を減らすため、戻りコンの有償化や特殊な混和材を利用した100%リサイクル技術が開発されるなど、多様な取り組みが行われているが、両コンクリートの低減は進んでいない。

 一方、地球温暖化を要因とした気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、その一因とされるCO2の排出量を減らすことは、国内外を問わず求められている。

 そこで、鹿島建設は、残コンと戻りコンを、建設現場内でCO2を利用してゼロにするシステムを確立した。

残コン・戻りコン処理システムの稼働状況 出典:鹿島建設プレスリリース

 新システムは、大規模現場では通常設置されている濁水処理装置に、簡易な振動式ふるいなどを追加することで構成されている。

 特徴は、残コン・戻りコンを、再利用可能な粗骨材やCO2を吸収・固定して中和された処理土、pHと濁度を下げ放流可能な水に分離できる点。さらに、一連の分離・処理過程において液化炭酸ガスを使用することで、残コン・戻りコンのセメント分にCO2を吸収・固定させられるため、残コン・戻りコンの削減と同時にCO2のカットを達成する。

 鹿島建設は新システムの性能を確かめるために千葉県市川市の建設現場で実証実験を行った。実証実験では、濁水処理装置に散水装置付きの振動式ふるいと、その直下に撹拌機を有する水槽を追加設置した。

 その結果、新システムを適用することで、残コン・戻りコンから再利用可能な粗骨材とCO2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシウムと細骨材の混合物)が得られ、排水のpHと濁度を下げて放流可能な水になるまで処理する一連の流れを確かめた。

左から、分離した粗骨材、CO2を吸収・固定した処理土、放流水pHの中性化を確認 出典:鹿島建設プレスリリース

 実証実験の作業手順は、まず、アジテータ車から散水装置付き振動式ふるいに生コンクリートを投入し、生コンがふるい上を通過する過程で固液分離する。次に、ふるい下部の水槽にモルタル分が落下し、散水により洗われた粗骨材を排出して、水槽内のモルタル分を攪拌。

 続いて、懸濁水状となり既存の濁水処理装置へ送出し、炭酸ガスで処理することでCO2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシムと細骨材の混合物)とpHが放流基準値以下となった処理水に分離して、処理水を放流する。

建設現場内の残コン処理システムのフロー 出典:鹿島建設プレスリリース

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