安藤ハザマは、Avintonジャパンが保有するエッジAI技術を利用して、コンクリート打設の数量と時間の管理を自動で行うシステムを開発した。今後は、上下水道施設、ポンプ場、水門など、一回当たりのコンクリート打設量が多い工事に、新システムを展開していく。また、安藤ハザマが保有する「打上り高さ・打重ね時間自動測定システム」「生コン車の位置情報確認システム」「締固め自動判定システム」などと連携させ、総合的な生コン管理システムに発展させることで、施工管理のより一層の高度化と省力化を目指す。
安藤ハザマは、Avintonジャパンが保有するエッジAI※1技術◆を利用して、コンクリート打設の数量と時間の管理を自動で行うシステムを開発したことを2022年6月30日に発表した。
※1 エッジAI:端末(ここではインターネットに接続可能なネットワークカメラとminiPC)にAIを搭載し、その場でAI処理する手法のこと。画像などの大量データを送信する必要がないため、送信速度が速まり、リアルタイム性が高まる。
コンクリート打設で打設数量をリアルタイムに把握することは、打設ペースの確認と最終数量調整、打重ね時間の確認、戻りコン低減のために必要だ。使用する各ミキサー車(生コン車)では、コンクリートの品質を確保するために、「練り混ぜてから打ち終わるまでの時間(打設時間)」を専任のスタッフが管理していた。
一方、近年、一度に大量のコンクリートを打設する工事が増えている。こういった工事では、複数の生コン工場から出荷されたコンクリートを数台のポンプ車を用いて打設する場合が多く、各ポンプ車に専任の管理者を配置することが手間となっていた。加えて、トータル打設数量をリアルタイムに把握する工夫が必須だった。
そこで、省人化と品質確保を両立するために、コンクリート打設の数量と時間の管理を自動で行うシステムを開発した。
新システムは、エッジAI(画像認識システム)を搭載した端末(ネットワークカメラとminiPC)により、各生コン車の現場到着時刻、打設開始時刻、打設終了時刻を人の手を介さず電子データ化し、瞬時にクラウドに送れる。
さらに、文字認識システムと連携したタブレットを、コンクリート納品書を集積する場所に配置しており、生コン車の運転手がボタンを押すだけで、納品書の記載内容を電子データ化し、瞬時にクラウドに送信する。
上記のデータをクラウド上で統合することで、各生コン工場の打設数量と打設時間をリアルタイムに把握・管理でき、打設ペース、待機する生コン車数、打設中の生コン車数など、変化する状況も調べられる。
また、コンクリート打設管理帳票などを自動で作れ、生コン工場側にとっては新たな設備投資(ネットワーク化など通信機材の導入)が不要で、これまでの納品書による管理で行え、システムの導入も容易。
なお、得られた管理データとネットワークカメラ画像はクラウドを介して、関係者はどこからでもリアルタイムに確かめられる。
既に、安藤ハザマは、大型ケーソン工事のコンクリート打設に適用してきた。具体的には、1回当たり約1500立方メートルのコンクリートを、7基の生コン工場から受け入れ、4台のポンプ車を用いて打設。
現場では、新システムを導入することで、従来はポンプ車ごとに配置していた4人の専任管理者をゼロにしただけでなく、打設量をリアルタイムに把握するため、戻りコンの量もこれまでと比べ、約6割低減した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.