インプラント NAVIやIoTセンサーで得た圧入機や地盤データのさらなる活用も既に検討が始まっている。全国の施工現場の圧入機や地盤データをクラウドに上げ、スマートフォンやPC、タブレットなどでどこにいても、機械情報や施工データ、位置情報を確認可能にする仕組みを2023年8月から、社内運用を開始している。クラウドに蓄積するデータは、AI学習で、最適な自律施工の手法を検討することにも役立てられる。
また、BIM/CIM活用では、3D測量の点群データとBIMモデルを融合させた提案ツールも、2024年5月からテストを予定している。現状では現場踏査〜工程計画〜原価計算まで3〜4日かかる技術提案が、現場で即日、3Dイメージ作成や積算が回答可能になり、災害復旧など迅速な判断が求められるときに有効となる。
省人化とは異なる脱炭素化の潮流には、圧入機パワーユニットの電動化を計画。2022年にオランダのプロジェクトで電動「ジャイロパイラー」導入を起点に、現行のディーゼルから、バイオ燃料、合成燃料、水素に順次切り替え、電動:外部給電/バッテリー式/燃料電池/全固体電池と、選択肢の幅を広げていく。温室効果ガス排出の低減に向けたロードマップでは、ディーゼル比率を2027年に50%、2050年にはゼロ、完全脱ディーゼルを掲げる。
「現在は国内外で2000台が稼働しているため、自動運転、遠隔操作、電動化に対応した次世代型圧入機を順次市場投入し、2027年までに新機能をフルラインアップで搭載する。将来は国土交通省でGXの安全性が確立されれば、工事成績評定の加点にもなるはずなので、その際には電動化やバイオ燃料への転換を加速させるつもりだ」(森部氏)
他の事業展開でインフラ老朽化対策では、河川(玉石層)や山間部(岩盤層)など適用地盤の拡大、建物に密着するゼロ近接や橋脚部の低空頭、さらに防水や水中など、圧入機の施工領域を広げ、インフラリメークを推進。森部氏は、「これから首都高速や阪神高速の大改修が控えており、狭い現場での需要は必ず増えてくるはず」と需要を見込む。
施工範囲は、インフラ分野だけにとどまらず、まだ事例の少ない建築分野でも、自社工場で狭小地に応じる新たな基礎構造の開発をはじめ、ジャイロプレス工法による建築基礎杭、防衛関連施設整備、地下シェルター、地中壁の地中輸送路などへの応用も既に着手しているという。
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