これまでは、圧入機オペレーターの経験則に基づき、人の手で圧入中に微修正を加えていた。iNAVILINKでは完全自動化までには至らないが、1本の圧入サイクルで30%の自動化率が向上し、トータル65%の自動化が見込める。その結果、ジャイロプレス工法であれば、4人が現場に必要だったが、オペレーターが補助も担当すれば3人で済むとともに、属人化の排除による施工品質の安定ももたらされる。
一方のG-Lab Visionは、これまでのように6台のカメラによる複数視点確保の大掛かりな設備や操作遅延防止を考慮した特殊な通信設備を必要としない。圧入機の3Dモデルや杭の設計3Dデータ、LiDARでスキャニングした現場環境の点群データに、インプラント NAVIやIoTセンサーで取得する現場のリアルデータを重ね、地中も含む施工現場のデジタルツインでリモートコントロールが可能になる。
発表会では、高知県にある技研製作所のテストフィールドと東京本社の会場をネットで結び、東京にいるオペレーターが600キロ離れた地点から、タブレット型の専用操作盤でデモンストレーションした。
圧入施工のプロセスは、法線合わせ〜L/G構築〜推測領域圧入〜打下投入〜自走〜天端合わせの流れで、今回の自動化は、法線合わせ、L/G構築、天端合わせを対象とし、人力作業が必須の建て込みや吊具撤去、打下装置改修を除けば、ほぼ自動化されたことになる。施工品質は、現場で測定した値を設計値にAIが調整することで、水平位置で芯ズレ10ミリ以内、傾斜0.2度以内、高さ10ミリ以内に収まる。
岡氏は、「建機では既に遠隔化されている機体はあるが、圧入機はインフラ整備で本当に使えるかを見極めながら、現場適用を進めていく。テスト段階では、1370キロ離れている北海道と高知市をつなぎ、0.2秒のタイムラグだけで施工に成功した。遠隔化のメリットは、海外の現場支援もカバーすれば、現地人材の育成も不要になることだ」と説明した。
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