今回は、システムによる施工管理の効率化や高度化の効果を確認するため、構成する施工履歴データを活用した土量管理システムや土砂トレーサビリティー管理システムなどの各技術を現場に適用し、改良を図りつつ有効性を確認した。
西松建設と戸田建設、奥村組は、2021年に3社で共同開発した「データ利活用型ICT土工管理システム」を複数の実現場に適用し、建設現場の生産性向上を実証したと2023年3月30日に発表した。ICT土工管理システムは、土量管理システムと土砂トレーサビリティーシステムから成る。
データ利活用型ICT土工管理システムは、盛土転圧管理システムで得られる施工履歴データを集約し、盛土の出来高管理や材料情報のトレーサビリティー管理への利活用を可能にする。
土量管理システムは、転圧施工履歴データを福井コンピュータ製のクラウドサービス「CIMPHONY Plus(シムフォニー プラス)」に集約することで、日々の土量管理を行う。データ利活用に関するデータ処理やクラウドへのアップロード作業を自動化し、職員の手間なく、クラウド上で土量算出や進捗把握といった施工管理を行える。また、汎用性が高いことから、建機メーカー各社の転圧データに対応し、多様な施工条件でも施工管理の省力化や効率化が可能だ。
一方、土砂トレーサビリティーシステムは、ダンプトラックに搭載したセンサーで、どこの土をどの場所に盛土したのかを記録する。センサーデータと盛土転圧管理システムの施工履歴データを関連付けることで、属性情報の土質情報により色分けされたボクセルモデルである3次元土工管理図を自動で作成し、盛土のトレーサビリティー管理を省力化できる。3次元土工管理図には、施工日や土質情報などの属性情報が付与されており、施工履歴の確認にも活用可能だとしている。
今回、「東海太田川駅西土地区画整理事業」など施工中の4現場に適用し、さまざまな成果を得たという。
その1つとして、転圧施工履歴データの処理やクラウドへのデータ集約の自動化により、現場職員は日々の施工後にクラウド画面を確認するだけで、施工土量を把握できるようになった。土量管理システムでの算出土量の精度は、空中写真測量と比較し、3%以内の差で、作業時間に関しても99%の削減につながった。
土砂トレーサビリティーシステムの実証では、盛土材料のトレーサビリティー(追跡)データを自動的に作成。開発当初は、センサー取り付けに手間と時間を要し、大規模土工などでダンプトラックの台数が多くなると準備に時間がかかるなどの課題があったため、センサー取り付け方法や電源ケーブルなどの配線を改良。取り付け時間を短縮したほだけでなく、精度の向上も実現している。
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