奥村組は、鉄筋コンクリート造の建築物で耐震改修工事の合理化を目的に、既存鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を低下させず、新たに開孔を設けることができる「奥村式RC有孔梁鋼板補強工法」を開発した。
奥村組は2023年1月6日、鉄筋コンクリート造建築物の設備改修を伴う耐震改修工事の合理化を目的として、既存RC梁(はり)のせん断耐力を低下させずに新たに開孔を設けられる「奥村式RC有孔梁鋼板補強工法」を開発し、日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得したと発表した。なお、特許は出願済みだという。
一般的に設備改修を伴う耐震改修工事は、設備配管ルートの確保が難しく、そのために改修工事を断念せざるを得ず、施工する場合も、梁下に新たな設備配管を設けなければならないため、天井高が低くなり意匠性を損なう問題が発生することがある。また、既存の鉄筋コンクリート梁に新しく開孔を設けて設備配管ルートを確保できれば、支障は生じないが、梁のせん断耐力が低下してしまう。
今回開発した工法は、既存の鉄筋コンクリート梁に新たに設けた開孔の周囲をアンカーボルトやエポキシ樹脂で鋼板を固定して補強。開孔を設ける前の鉄筋コンクリート梁と同等以上のせん断耐力を確保するという手法だ。
特長としては、補強部材に特別な材料を使用しないため簡単に施工ができること、新設開孔により低下するせん断耐力に応じ、補強部材の寸法を合理的に設計可能なこと、また開孔直径は梁せいの3分の1かつ250ミリまで適用すること、1つの梁に複数の開孔を設けられることが挙げられる。
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