搬送や掃除機など用途の異なる複数ロボットをパナソニック東京汐留ビルで実験運用FM

パナソニックホールディングスは、配送ロボットやロボット掃除機など多様なロボットが建物内で活躍できるロボットフレンドリーな環境の構築を目的とした実証を行った。

» 2023年04月05日 16時00分 公開
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 パナソニックホールディングスは2023年3月8日、労働力不足の解決や施設内での効率的なロボット運用の実現、そして将来のロボットの社会実装の加速に向け、配送ロボットやロボット掃除機など多くのロボットが活躍できるロボットフレンドリーな環境の構築を目指す実証実験を実施したと発表した。

同じ施設内で異種用途ロボットの効率的な運用の課題を抽出

自動搬送ロボット「ハコボ」 自動搬送ロボット「ハコボ」 出典:パナソニックホールディングスプレスリリース
ロボット掃除機の実証モデル ロボット掃除機の実証モデル 出典:パナソニックホールディングスプレスリリース

 実証は、経済産業省の補助事業「令和4(2022)年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」のうち、用途の異なる複数のロボットを同時運用を実用化するための「複数ロボットの群管理制御の標準化」の研究開発事業となる。

 パナソニックグループは、令和2(2020)年度と3(2021)年度の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」にも、受託企業の下でロボット開発メーカーとして参画。多様なロボットがさまざまなエレベーターに搭乗できるようにするための通信仕様や運用方法に加え、施設内のセキュリティドアやフラッパーゲートと連動したフロア内の安全な移動などを検証した。

配送ロボット(手前、背面)とロボット掃除機の群管理制御 配送ロボット(手前、背面)とロボット掃除機の群管理制御 出典:パナソニックホールディングスプレスリリース
走行経路を確保後に走行し、さらにセキュリティドアを通過して、オフィスフロアまでの自律移動で配送 走行経路を確保後に走行し、セキュリティドアを通過して、オフィスフロアまでの自律移動で配送 出典:パナソニックホールディングスプレスリリース

 今回は、パナソニックホールディングスが事業を受託し、東京都港区東新橋一丁目のパナソニック東京汐留ビルで2022年12月から2023年1月末まで、自動搬送ロボット「ハコボ」やロボット掃除機の実証モデルで実証した。複数ロボットを確実に制御する方法としては、配送ロボットの走行を優先させ、その間にロボット掃除機が退避するフローを採用し、その課題を洗い出した。

 ハコボは、オペレーターからの指示で、別の階のオフィスフロアまで配送するロボット。クラウドシステムとの連携で自動的にエレベーターに搭乗し、経路上に他のロボットがいる場合は、走行経路を確保後に走行し、セキュリティドアを通過して、オフィスフロアまでの自律移動での配送する。一方のロボット掃除機は、LiDARを搭載し、共用部(エレベーターホールや通路)の状況を自動認識し、隅々まで自動で掃除する。クラウドシステムとも連携しており、清掃中に配送ロボットが近づき通過する際は、ロボット掃除機は退避し、配送ロボットが通過後、清掃を再開する。

 今後は、実物件のオフィスビルで実施した結果をもとに、オフィスビルに限らず、公共施設や商業施設など多様な施設でロボットの効率的な運用を実用化することで、新サービスの提供や新たな不動産価値の創出を見込む。

共用部(エレベーターホールや通路)の掃除環境を自動で認識し、隅々まで自動掃除を実現するロボット掃除機の実証モデル 共用部(エレベーターホールや通路)の掃除環境を自動で認識し、隅々まで自動掃除を実現するロボット掃除機の実証モデル 出典:パナソニックホールディングスプレスリリース

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