「AR 匠RESIDENCE」の新バージョン、外装のシーリングや防水が検査可能に：AR

長谷工コーポレーションは、アウトソーシングテクノロジーとともに開発したマンション打診検査向けMRソリューション「AR 匠RESIDENCE」の「バージョン1.2」を開発した。新バージョンでは、外壁タイルの打診検査と併せて、他の外装部分を検査できるように、シーリングや防水などの検査項目を追加しただけでなく、MR空間で検査結果の経過を確かめられる。

[BUILT]

　長谷工コーポレーションは、アウトソーシングテクノロジーとともに開発したマンション打診検査向けMRソリューション「AR 匠RESIDENCE（エーアールタクミレジデンス）」の「バージョン1.2」を2022年10月21日にリリースした。

対象部における過去の検査記録を閲覧可能

　AR 匠RESIDENCEは、日本マイクロソフトの技術協力を得て、長谷工コーポレーションとアプリ開発や外販も担うアウトソーシングテクノロジーが2019年10月に共同開発に着手した外壁タイル打診検査のためのARソリューション。検査員がMicrosoftのAR対応ウェアラブルデバイス「HoloLens 2」を装着して、打音検査の点検記録を行い、点検結果は、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上に保存されて報告書が自動生成される。

「AR 匠RESIDENCE」の全体構成　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

　新バージョンでは、現地でスマートフォンを用いて、登録情報をチェックし、マーカーの移動と再設定が可能となった他、AR 匠RESIDENCEで取得した建物の情報をミニチュアモデルで表示し、位置を確認できる。検査結果入力用の項目として、ALC、鉄部、シーリング、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水を追加し、検査対象も増やした。

「AR 匠RESIDENCE」の管理コンソールはさまざまなデバイスに対応　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

「AR 匠RESIDENCE」の新バージョンで建物を認識している状況（左）とミニチュアモデルで表示（右）　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

「AR 匠RESIDENCE」の新バージョンの追加検査項目　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

　報告書用や各検査項目へのリンク一覧、各仕上げ指摘項目の合計数量も自動で作成され、ワンクリックで遷移して該当箇所の詳細も見られる。また、対象部における過去の検査記録を調べられ、検査データの履歴を比較することで、変化の傾向を分析可能だ。

「AR 匠RESIDENCE」の新バージョンの報告書リンク一覧画面　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

「AR 匠RESIDENCE」の過去点検記録を一元管理（左）と「HoloLens2」を装着することで過去の履歴が確認可能（右）　出典：長谷工コーポレーションプレスリリース

　今回のアップデートにより、現地での設定変更や位置精度の向上を実現し、AR 匠RESIDENCEによるデジタル記録の信頼性を高めた。さらに、利用者の声を反映し、UIとUXの改善とデータの一元管理を達成して、利便性をアップした。

　既に、長谷工リフォームでは、新バージョンを活用し、建物の診断を行っている。一方、長谷工コーポレーションとアウトソーシングテクノロジーでは、適用範囲の拡大を目的にAR 匠RESIDENCEのiOS版アプリを開発し、実証実験を行った。

　AR 匠RESIDENCEのiOS版アプリは、「iPhone 12 Pro」「iPhone 13 Pro」「iPad Pro」に対応し、LiDARで空間をモデリングして3Dモデルを生成し、その3Dモデルに点検記録を添付する。