地域の防災力を高める「災害配慮型」のZEH賃貸住宅を大東建託が開発ZEH(2/3 ページ)

» 2022年11月02日 06時10分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 例えば、キッチンに近接したパントリーでは、非常食などを十分に保管できる広さを確保。備付け棚を浅くすることで、ローリングストックを促す配慮もなされている。

「ぼ・く・ラボ賃貸 Yell」のパントリー 提供:大東建託

 リビング空間に設けたライブラリーコーナーは、本棚や飾り棚のほかにも、持ち出し防災セットの置き場にも利用可能。避難経路に設けることで、災害時に素早く、迷わず持ち出せるように意識した。

ライブラリーコーナー 提供:大東建託

 ウォークインクローゼットも、衣類だけでなく、寝袋などボリュームのある災害備品に対応可能な容量を用意した。

 洗面所にも収納力の高い固定棚を設置。タオルや洗面品だけではなく、洗剤やティッシュペーパーなどの消耗品の備蓄棚としても活用できる。

 2つ目の課題は「コミュニティー」。災害時の救助活動は一刻を争うことが多く、国や地方自治体による“公助”より、近隣住民との連携=“共助”がカギとなる。ただし一般的に集合住宅では、近隣住民との関係が疎遠になりがち。そのため、Yellでは、外部との接点を高め、コミュニケーションを活性化する工夫が施されている。

 1階のサンルームには、窓際にいざなう「出窓ベンチ」を設置。ベンチで過ごすことで外部に"開く"一方、サンルームの奥行きを1820ミリとり、LDKのプライバシー性も高めるつくりとなっている。

出窓ベンチ 提供:大東建託

 2階バルコニーのバルコニーも奥行きを1820ミリとし、一般的な賃貸住宅のバルコニーより広く、オープンスペースとして活用しやすい。深い軒で雨天時も利用しやすく、腰ほどの高さの壁に囲われてプライバシー性もほどよく兼ね備えている。

 ベンチやバルコニーなど、外部との接点となる場所での滞留時間を増やすことで、住戸住民と地域住民の接触機会を増やし、日頃から互いに認識し合うことで、緊急時に助け合える「共助の関係」を構築するねらいだ。

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