乃村工藝社が新本社にタスク&アンビエント照明を導入、消費電力を53.8%削減導入事例(2/3 ページ)

» 2022年10月18日 07時00分 公開
[遠藤和宏BUILT]

65%の座席をチームアドレスとし300人の従業員が1フロアに集合可能に

 乃村工藝社の山口氏は、「本社9階のクリエイティブ執務フロアでは、これまで各従業員に1席の固定席を用意していたが、全体のうち65%の座席をチームアドレスとし、300人の従業員が1フロアに集合できるようにした。さらに、天井工事を行わずに、床から電源を確保するタスク&アンビエント照明を取り付け、消費電力の削減を行った」とコメントした。

パナソニック EW社 エンジニアリングセンター 中央エンジニアリング部 部長 岩井彌氏

 パナソニック EW社の岩井氏は、「タスク&アンビエント照明は、業務に必要な光を創出するタスク照明と空間全体を照らすアンビエント照明を組み合わせた照明設計手法の1つで、全般照明と比較して、全体の照度を下げられ、約3〜5割の省エネを達成しつつ、快適な業務空間を実現する」と述べた。

 こういったメリットはあるが、「LED照明だけで十分省エネ化している」「照明器具のバリエーションが少ない」「導入したら室内が暗くなるのではないか」といった意見を持つオフィスワーカーが多く、タスク&アンビエント照明は普及していない。

 一方、従来のオフィスは750ルクス(lx)の机上面照度を実現する設計がなされてきたが、昨今は、政府が推進する働き方改革の影響により、PC作業に支障をきたさない程度で750lxの机上面照度を満たさないオフィスが増えているだけでなく、省エネに貢献しZEBの構築で役立つタスク&アンビエント照明に関心を寄せるオフィスワーカーも増加している。

 上記のニーズを考慮し、パナソニック EW社では、多様なLEDライトと照明設計手法を組み合わせ、空間の明るさを保てるタスク&アンビエント照明を提供している。

 「当社のタスク&アンビエント照明は、開発した空間の明るさ感指標“Feu”とBIM用照明シミュレーションツール“Lightning Flow(ライトニングフロー)”を用いて、照明の効果を検証した上で、対象の施設に導入する。Feuは、床や机上面、天井、壁などにどの程度の光が当たっているのかを計算し、人が空間に対して感じる明るさを数値化して、指標化したものだ。Lightning Flowでは、建物のBIMデータ上に設置した照明の効果を確かめられるシミュレーションが行える」(岩井氏)。

「Feu」の概要
「Lightning Flow」の概要

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