矢野経済研究所は、非住宅分野の木造構造建築物に取り組むゼネコンやハウスメーカー、構法メーカー、建材メーカーといった企業を対象に、国内非住宅木造市場の動向について、2022年7月〜9月に調査し、その結果をまとめたレポートを発表した。調査結果によれば、2022年度の非住宅木造市場規模は、工事費予定額ベースで同比102.5%の6100億円になると予測した。
矢野経済研究所は、非住宅分野の木造構造建築物に取り組むゼネコンやハウスメーカー、構法メーカー、建材メーカーといった企業を対象に、国内非住宅木造市場の動向について、2022年7月〜9月に調査し、その結果を2022年10月6日に発表した。
調査結果によれば、2021年度の国内非住宅木造市場規模(新築と増改築)は、床面積ベースで前年度比8.5%減の350万2600平方メートルで、工事費予定額ベースで同比8.7%減の5952億円となり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年度に続き、前年度比で減少した。
市場が大幅に減少した主な理由としては、ウッドショックの影響が挙げられる。具体的には、ウッドショックにより、木材の入手が困難になったことや木材価格の高騰などで建築費用が増加し、民間建築物などでは、建築主(施主)は、当初の想定投資利回りを確保することが困難となり、事業の中断と延期を行い、非住宅木造市場は2年度連続で大幅に減った。
さらに、現在、社会全体では、SDGsやカーボンニュートラルで環境意識が高まっており、企業も環境に配慮することが期待されている。こういった状況を踏まえて、国内の企業では、木はCO2を貯蔵・削減するといった特徴に注目し、木造を選択して非住宅木造建築物を開発する事例が増加している。
実際に、木造やS/RC造などと木造を組み合わせた混構造(ハイブリッド構造)のオフィスビルのニーズは、拡大しており、2020年度はコロナ禍で、非住宅木造市場全体は大きく減少したが、国土交通省の「建築着工統計」によれば、オフィスビルに該当する「事務所(木造)」は、床面積ベースで前年度比100.1%となり、金額ベースでは同比101.1%で、棟数ベースは同比100.2%と底堅く推移している状況だ。
2022年度に関しては、コロナ禍での行動制限も緩和されて経済活動が正常化するなか、事業を中断していた案件の着工も徐々に再開している他、ウッドショックの影響による木材の供給制約も緩和されつつあるため、2022年度の非住宅木造市場規模は床面積ベースで前年度比102.1%の360万平方メートルで、工事費予定額ベースで同比102.5%の6100億円になると予測した。
2025年度の国内非住宅木造市場規模は、床面積ベースで2021年度比124.8%となる440万平方メートルで、工事費予定額ベースで同比129.4%となる7700億円に拡大すると推定している。このように市場が拡大する要因には、国内における環境意識の高まりがある。
今後、国内企業はSDGsやESG(Environment、Social、Governance)投資への対応を本格化し、住宅木造建築物の開発事例が増える見通しだ。
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