特にここ数年は、DJIをはじめとする機体メーカーの性能競争から、その先のドローンでいかに効率的にデータを取得し、データをどうやって有効活用するかの「DaaS(ドローン・アズ・ア・サービス)」に、市場のマインドが移り変わってきている。こうしたマーケットの変化に先んじて、Skydioのドローン製品では、さまざまなタスクをこなすため、自律飛行の機体だけでなく、3Dスキャンやクラウドなどデータ活用の各種ソリューションもパッケージしている。
一例を挙げると、米シアトルに拠点を構えるACCURATE DRONE SOLUTIONSは、メイン機体をDJI Phantom 4 Pro V2.0からSkydio 2へ切り替え、代表のサム・デ・ロング氏によれば、「飛行時間が66%短縮されただけでなく、アプリ活用によるデータ処理時間の25%削減など、飛行後のワークフローも改善され、パイロット1人あたりの収益で37%増につながった」とのことだ。
ソリューションとしては飛行計画の立案でも、SkydioはAIを活用した独自のフライトプランニング用アプリを用意している。
飛行計画の立て方をENEOSカワサキラボでの実証実験を例にすると、最初に、ルートを作成するため、オペレーターのプロポを使ったマニュアル操作で1度だけ対象物の周りを飛行させる。その際、プロポと一緒にオペレーターが持つ、Wi-Fiで機体とつないだタブレット上のフライトプランニング用アプリで、ドローンのリアルタイム映像を確認しながら、ラップ率(撮影写真で重なる部分)を考慮したどれぐらい離れて撮影するかや対象物の一番上から一番下までの撮影範囲を決める。後は、AIが最適にキャプチャーできる飛行ルートを数秒で導き出し、そのフライトプランに従ってドローンが自ら離陸して、結果的に2回の飛行計40分で1000枚を撮影した。
ドローンで取得するデータは、広域を上空から芝刈り機のように上下になぞって撮影する平面図の2Dスキャン、または複雑な立体物の周りを飛び、あらゆる角度からデータを取る3Dスキャンのどちらでも使い分けられる。3Dモデル化には、Skydioの3Dスキャン単体では点群生成ができないため、ドローンで撮影した画像をもとに、例えばセンシンロボティクスのプラットフォーム「SENSYN CORE」内のMapperなど、サードパーティー製SfMソフトウェアで変換する。
そのほか、Skydioの最新機能としてはリアルタイム映像伝送サービスを実装している。標準で備わっているWi-Fiの2.4GHzでは、100メートルほどしか飛行中のドローンと接続できないが、ライブストリーミングであれば遠隔地にいても、飛行中の映像をリアルタイムで確認できるようになる。これまでは機体のメモリカードを抜き、PCに差してデータを確認していた手間も省けるようになる。さらに、災害発生などの緊急時には安全な場所での被災状況の迅速な把握、建設現場の現況を本社や事務所でリモート監視するなどといった使い道が考えられる。
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