ドローン本体にも、仮想的なフェンスを設定して飛行範囲の制限を行う機能は備わっている。加えて、コンパニオンコンピュータにもフェンス機能を設定して、飛行範囲を二重に設定するのが「飛行範囲設定の二重化」だ。
フライトコントローラーとコンパニオンコンピュータで、フェンスを二重に設定することで、仮にフライトコントローラーの設定が無効になっても、コンパニオンコンピュータ側で機体を制御。また、フライトコントローラーで設定したフェンスに接近した場合には、コンパニオンコンピュータで警告を出すようなことも可能になる。
通信のバックアップを用意して緊急時に備える冗長化については、通常はドローンとプロポは1対1でつながって通信するが、目視外での運用ではドローンまでの距離が長く、通信断絶の危険性が高まることに備えた機能だ。
通信の断絶はそのまま障害や事故に至るので、通信が途切れないようにする対策が欠かせない。そのために、本体の通信機に加えて、コンパニオンコンピュータにも複数の通信機能を持たせ、状況に応じて通信経路を切り替える手段が講じられている。
通信の予備については、コンパニオンコンピュータ経由でLTE通信を行い、クラウド上のMission Plannerで機体状況を把握できることを確認している。
ドローンの遺失では、飛行状況がGNSSなどでモニタリングされていても、通信障害が起きてしまうと分からなくなる。通信が途絶えると、山であれば木にぶつかって墜落するか、バッテリー残量がなくなるまで飛行を続ける。ドローン自体は自機の位置を発信しているが、大きな木の下に墜落したり、位置情報を発信するバッテリーがなくなったりすれば探すのは難しくなる。
そこで、NECソリューションイノベータは、見失った地点と飛行方向で重点的に操作を行う方法を生み出した。
遺失ドローンは、捜索用のドローンを使って探し出す。まず、捜索ルートを立案し、捜索用ドローンを自律飛行させる。遺失ドローンが発信する電波を捜索用ドローンで受信し、電波強度のヒートマップを作成。ヒートマップをもとに、遺失ドローンの捜索範囲を段階的に絞りつつ、電波受信のための飛行を繰り返すことで、正確な位置を特定して機体が回収できる。
NECソリューションイノベータは、「ドローンオープンプラットフォームプロジェクト」にも参加しており、一二三氏は「高可用性ドローン基盤を国産ドローンの共通プラットフォームとなるように開発を進め、安全安心にドローンが飛ばせる世界を作りたい」と今後の抱負を語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.