フェイルセーフ機能拡張や遺失ドローンの捜索が可能に、NESが開発を進める「高可用性ドローン基盤」Japan Drone2022(2/3 ページ)

» 2022年10月13日 12時14分 公開
[川本鉄馬BUILT]

ドローンの状況を監視するコンピュータを追加搭載

 体制としては、ArduPilotに造詣が深く「コンサル・農業・教育」の3本を柱に事業展開しているドローン・ジャパン、機体カスタマイズに知見を持つイームズロボディクスの3社連携で、それぞれの得意分野を持ち寄って進めている。

ドローン・ジャパン、イームズロボディクス、NECソリューションイノベータの3社による開発体制

 高可用性ドローンの基盤として、NECソリューションイノベータが定めたコンセプトは、「飛行状況の把握・監視」「飛行範囲設定の二重化」「通信の冗長化」「遺失ドローンの捜索」の4つ。

高可用性ドローン基盤のコンセプト

 NECソリューションイノベータのシステムでは、機体を制御するArduPilotのドローンの状態を、ドローンに搭載した別のコンピュータ(コンパニオンコンピュータ)で監視し、状況に応じて緊急着陸や基地に戻るなど、何らかの異常を検知したら飛行を停止させるフェイルセーフアクションを実行する。他にも、コンパニオンコンピュータは外部機器の制御や飛行記録の保存、墜落した場合のビーコン発信なども行う。

高可用性ドローン基盤の全体像。フライトコントローラーを別のコンピュータで監視。ドローンの状態に応じた振る舞いを行う

 今後、目視外の飛行が増える中で、機体状況をリアルタイムで把握することが重要になってくる。監視項目はいろいろあるが、飛行速度やバッテリー残量、飛行姿勢などをモニタリングすることで、外部機器との連携を含めたアクションが可能になる。アクションとは、バッテリー残量が低下したら帰還させたり、安定した姿勢が保てなくなったら着陸させたりなどだ。

コンパニオンコンピュータで、外部からフライトコントローラーを監視して、フェイルセーフアクションを実行

 ドローン本体にもフェイルセーフ機能は備わっているが、機体制御ソフトウェアとは別のコンピュータで監視することにより、フェイルセーフ機能に拡張性を持たせられるのが利点となっている。

 一二三氏は、「将来はフライトコントローラーの二重化で、相互監視なども検討したい」との計画を明らかにした。

コンパニオンコンピュータの追加によって、通信の冗長化やフェイルセーフ機能の拡張などが可能になる

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