360度撮影で日本全域の建築空間を3Dデータ化、Matterportの市場戦略と最新Pro3など製品群建築デジタルツイン(3/4 ページ)

» 2022年10月11日 06時11分 公開

日本市場でのMatterportの事業戦略

 日本市場への本格進出に伴い、新たな事業の柱となるのは、販売網と販売エリアの拡大、導入対象の業界/業種を広げる、デジタルツイン内製化を推進の3本だ。

 販売網と販売エリアの拡大は、Matterport需要の増加により、日本国内の販売やサービス提供の基盤を強化。現状、首都圏中心に業界特化した形で販売しているが、今後は全国全領域に広げる。そのために全国をカバーする流通販売会社と販売契約を結び、代理店制度を確立し、さらに法人営業販社、SI企業、プラットフォームベンダーとの協業も進める。

需要の増加により、国内の販売およびサービス提供の基盤を強化 出典:マーターポート『日本法人設立』事業戦略 記者発表会資料

 業界/業種に関しては、Matterportの海外実績と同じくさまざまな業界の法人顧客への導入を提案していく。日本では当初、撮影業から導入が始まり、不動産業、ハウスメーカー、建設/建築と広がったが、今後は博物館やイベント、アパレル/小売業、工業プラント/電力/ガス/製油、製造業、宿泊業などもターゲットとする。

 3本目のデジタルツイン内製化は、現状では日本のVR活用は販売促進の目的での利用が多いが、今後は企業の内部業務でデジタルツインを活用する内製化にフォーカスしていく。ポイントとなる導入効果としては、移動費や人件費、制作費などといったコスト削減効果。加えて、効率化や迅速性、情報共有、意思疎通、判断迅速化など。特に社内情報については外部非公開のデータが多いため、外注が難しく、撮影制作も内製化が望ましい。その点で、多様なカメラに対応し、撮影も容易なMatterportが、内製化を強力にサポートする。

マーターポートは、企業の内部業務でデジタルツインの内製化をターゲットに 出典:マーターポート『日本法人設立』事業戦略 記者発表会資料

初の3D LiDARカメラ「Matterport Pro3」

 マーターポートの最新製品では、Matterport製3Dスキャナー「Matterport Pro3」が、欧米に続き国内向けには2022年11月からの出荷を予定している

 Matterport Pro3は、同社初の3D LiDARカメラを搭載した最新フラグシップモデルとなる。薄暗い場所から直射日光下まで屋内外を問わず太陽の影響を受けずに撮影でき、最大100メートルの範囲を測距しながら、スキャン1回20秒未満でキャプチャーするなど、撮影時間も大きく短縮。さらにカスタム20MP(メガピクセル)のセンサーと12枚もの超広角レンズにより、色鮮やかで高精度で高精密な360度画像の撮影&スキャンが可能で、フロアプランやBIM用の正確な奥行き情報もキャプチャー。もちろんPro2よりさらに軽量かつコンパクトで、携帯しやすく操作も簡単なので、どんな現場へも手軽に安全に持ち込んで、三脚を設置すれば即座に360度撮影を開始できる。

「Matterport Pro3」 出典:マーターポートWebサイト

 Matterportフラグシップモデルの座こそPro3に譲るものの、Matterport Pro2は高解像度360度画像と高精度スキャンによるスピーディーかつ手軽な高品位キャプチャーがウリのより上位のハイエンドモデルとなる。

 プロレベルの134MP+3D深度データによる4K高画質ながら、操作方法は難しくなく、三脚を据えてリモコンのボタンを押すだけ。キャプチャーした3D空間データは、Pro3と同じくMatterportのクラウドにアップすれば、その空間の高品質なデジタルツインが生成される。Matterportではニーズに応じてさまざまなクラウドプランを用意しており、撮影した空間データの保存、共有、共同作業にも便利に活用できる。

「Matterport Pro2」 出典:マーターポート『日本法人設立』事業戦略 記者発表会資料
Matterport Pro2のセッティング 出典:マーターポート『日本法人設立』事業戦略 記者発表会資料

※記事の初出時に、「Matterport Pro3」の国内での出荷開始月を2022年10月としていましたが、Matterportに最新情報を問い合わせたところ、日本、オーストラリア、ニュージーランドは2022年11月に変更となったとのことです(2022年10月12日16時25分)。

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