清水建設は、日鉄エンジニアリングと組成した共同企業体により、北海道の石狩市と小樽市にまたがる海域で、洋上風力発電施設「石狩湾新港洋上風力発電施設」の洋上建設工事に着手した。石狩湾新港洋上風力発電施設の発注者は、グリーンパワーインベストメントが設立したSPCのグリーンパワー石狩で、洋上工事の施工者は清水建設が日鉄エンジニアリンと組成した共同企業体が担い、商用運転開始は2023年12月を予定している。
清水建設は、日鉄エンジニアリングと組成した共同企業体により、北海道の石狩市と小樽市にまたがる海域で、洋上風力発電施設「石狩湾新港洋上風力発電施設」の洋上建設工事に着手したことを2022年9月9日に発表した。
石狩湾新港洋上風力発電施設は、北海道石狩湾新港から約1600メートルの沖合にあり、約500ヘクタールの海域に建設される。今回の施設は、発電容量が112MW(接続容量約99MW)で、8MWの風車14基と66キロボルト(kV)の送電に対応する約15.5キロの海底ケーブルから成る。
8MWの風車は、完成時点で国内最大の洋上風車となり、ブレードの最高到達点は約190メートルに達する他、風車の部材は、高さ約90メートルのタワー(支柱)、タワー頂部に設置するナセル(発電設備)、ナセルに連結する長さ約80メートルのブレード(羽)となる。いずれも巨大な部材だが、清水建設が使用するSEP船は各部材をフルサイズで一括搭載して航行できるため、効率的な組み立てが可能。
なお、他のSEP船を利用する場合には、メインクレーンの能力と部材搭載能力を勘案すると、タワーを2分割して積載し海上で組み立てなければならず、基地港と施工海域の航行回数が多くなることから施工に約4カ月を要すると推測されるが、清水建設のSEP船を活用する2カ月で施工が行えることが分かっている。
さらに、SEP船の拘束期間短縮は工期と工費の削減につながるだけでなく、ひいては発電事業の採算に直結する。加えて、今後、風車の大型化や発電所の大規模化が進むと、工事に採用するSEP船の性能により工期・工費が大きく左右されるため、石狩湾新港洋上風力発電施設で用いるSEP船には国内外の発電事業者から大きな期待が寄せられてるという。
現在、上記のSEP船は、ジャパンマリンユナイテッドが兵庫県相生市で保有する相生事業所で、最終の建造工程となる艤装(ぎそう)作業が進み、当初の予定通り2022年10月中に完成する見通しだ。
その後、広島県江田島市の江田島に場所を変え、清水建設の技術者と船員によりSEP船の習熟訓練を実施する。2023年3月には、ウェンティ・ジャパンが洋上風力発電施設を計画している富山県下新川郡入善町沖で、3基の3MW風車における基礎と風車の据付施工を手掛け、現地で艤装を整える。
石狩湾新港洋上風力発電施設は、発電容量が112MW(接続容量約99MW)で、世帯数に換算すると約8万3000世帯の電力を発電し、年間のCO2削減量は約20万2000トン。発電設備設置地は北海道石狩湾新港で、売電先は北海道電力ネットワークとなり、売電期間は20年間で、運転開始は2023年12月を予定している。
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