建物のライフサイクルを管理するサブスクサービスの提供開始、大成建設ICT

大成建設は、クラウドを利用し建物のライフサイクルを管理するサービス「LCMC(LifeCycle Management Console)」の販売形式に、業界初となるサブスクリプション方式を導入し提供を開始した。なお、今回のサービスは、2021年12月にβ版の先行提供を行い、実証データを基に機能改善を進め、2022年夏中に正式版を提供する見通しだ。

» 2022年08月25日 09時00分 公開
[BUILT]

 大成建設は、クラウドを利用し建物のライフサイクルを管理するサービス「LCMC(LifeCycle Management Console)」に関して、サブスクリプション方式で提供を開始したことを2022年8月12日に発表した。

「Lilz Gauge」や「CAFM」とも連携する予定

 近年、建物や社会インフラの老朽化に伴い、保守業務の重要性が高まっている。一方、建物管理の現場では、現状でも紙による点検確認や経験に基づくトラブル対応などが多く、効率的な保守管理が行えない環境にある。

 そのため、建設時に生じる設計や工事費といったイニシャルコストより、建物竣工後の保守管理に関するランニングコストの方が高くなるとされており、建物ライフサイクルコストの低減では、保守管理を効率的に行うことが求められている。

 こういった状況を踏まえて、大成建設は、不動産価値の向上や建物保守業務の効率化、利用者満足度の最大化を目的に、2019年10月に日本マイクロソフトと協業を開始した。

 2021年2月には、BIMとIoTを融合した建物プラットフォーム「LifeCycle OS※1」をMicrosoft Azure上に構築し、LifeCycle OSを建物管理に運用することで、多様なサービスやデバイスを連携させ、建物機能の継続的なアップグレードを実現するための基盤として活用している。

※1 LifeCycle OS:BIMと建物の運用管理データを統合管理するシステム。

 今回、大成建設と日本マイクロソフトは、LifeCycle OS上で稼働するクラウドサービスとしてLCMCを開発した。LCMCは、LifeCycle OSから取得したIoTデータを活用して、建物の管理を自動化する。

「LifeCycleOS」と「LCMC」の概念図 出典:大成建設プレスリリース

 具体的には、LCMCは、「点検管理システム」「インシデント管理システム」「建物・設備管理システム」で構成される。点検管理システムは、1台のスマートフォンもしくはタブレットで設備点検や清掃点検の結果を見られるようにする他、建物規模や用途に応じて点検内容を自由に組み替えられ、オフィスに居ながら対象の建物状況をリアルタイムに確かめられる。

 さらに、設備機器の巡回点検効率化クラウドサービス「Lilz Gauge※2」とLCOS標準サービスであるARアプリとの連携も予定している。

※2 Lilz Gauge:低消費電力IoTカメラと機械学習を活用しアナログメーターなどの目視巡回点検を簡単にリモート化できるLiLzのクラウドサービス

 インシデント管理システムは、スマートフォンやタブレット、PCで操作でき、設備、清掃、警備などのビルメンテナンスに関わる全てのインシデントを登録・管理し、管理者がリアルタイムにインシデントの状況を調べられる。

 建物・設備管理システムは、建物と設備に関する情報や設備機器に関連するインシデントおよび点検の履歴、センサーで取得したIoTデータなどの情報を一元的に管理する。また、大成建設の不動産情報管理システム「CAFM」とも連携する見通しだ。

 現在、大成建設は、東京都千代田区のオフィスビル「御茶ノ水ソラシティ」で先行提供していたβ版による現場実証データをフィードバックさせて、サービスの機能改善を進めており、2022年夏中に正式版の提供を開始する。

「LCMC」の機能 出典:大成建設プレスリリース

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