環境配慮型コンクリートの適用で「181t-CO2」のJ-クレジットを取得、鹿島建設 : 導入事例
鹿島建設は、コンクリートの製造と運搬に関わるCO2排出量をブロックチェーン技術により見える化するプラットフォームを2022年3月に開発し、東京都豊島区で保有する施設「ドーミー南長崎アネックス」の新築工事で適用した。
鹿島建設は、コンクリートの製造と運搬に関わるCO2排出量をブロックチェーン技術により見える化するプラットフォームを2022年3月に開発し、今回のプラットフォームを初めて用いて、国が運営する「J-クレジット制度」で「181t-CO2」のクレジット(J-クレジット)を取得したことを2022年8月9日に発表した。
同社は、東京都豊島区で保有する施設「ドーミー南長崎アネックス」の新築工事で、通常のコンクリートよりもセメントの使用量が少ない環境配慮型コンクリートを使用し、コンクリートの製造・運搬で生じるCO2排出量のカットを実現して、J-クレジットを取得した。
環境配慮型コンクリートを適用した「ドーミー南長崎アネックス」(左)と取得クレジットの算定方法(右) 出典:鹿島建設プレスリリース
具体的には、地下構造に「ECMコンクリート」を利用し、上部構造に「エコクリート BLS」を適用している。さらに、工事では、コンクリートを構成する各材料の製造から現場打設に至るまでに関わる各サプライヤーの取引情報(配合や運搬数量など)を今回のプラットフォームに取り込むことで、コンクリート製造と運搬のサプライチェーンにおけるCO2排出量を算定した。
加えて、プラットフォームには、J-クレジット取得に必要な「削減活動実績報告リスト」の自動作成機能があり、クレジットの取得手続きをスムーズに進められることが分かった。今後は、プラットフォームを活用し、J-クレジットの取得を推進するとともに、環境配慮型コンクリートを適用した建築物のさらなる普及展開を図る。
ドーミー南長崎アネックスは、RC造地上5階建てで、延べ床面積は4177.73平方メートル。所在地は東京都豊島区南長崎で、設計は鹿島建設 建築設計本部が担当し、施工は鹿島建設 東京建築支店が担い、竣工は2022年2月。
「ドーミー南長崎アネックス」の外観 出典:鹿島建設プレスリリース
CO2を25%削減する新型コンクリート、価格と耐久性もばっちり
あらゆる建物に利用されるコンクリート。鹿島建設は従来より製造時におけるCO2排出量を25%削減した新型コンクリートを開発した。耐久性やコスト面でも一般的なコンクリートと同水準を保っており、建物の建設時におけるCO2排出量の削減に貢献できるという。
コンクリート表層に塗布した含浸剤でCO2吸収を促進する技術を開発、清水建設
清水建設は、北海道大学とともに、環境配慮型コンクリート研究開発の一環として、既設のコンクリート構造物を利用して大気からのCO2吸収を促進するCO2固定化技術「DAC(Direct Air Capture)コート」を開発した。DACコートは、表層に塗布した含浸剤を介してコンクリート構造物に大気中のCO2を吸収・固定化させるもので、CO2吸収量を含浸剤塗布前の1.5倍以上に増大させられる。含浸剤の主材となるアミン化合物は、CO2の吸収性能だけでなく、防食性能も備えているため、コンクリートの中性化に起因する鉄筋の腐食を抑制し、鉄筋コンクリートの長寿命化に貢献する。
CCU材料の炭酸カルシウム微粉末を大量混入した高流動コンクリートを開発
鹿島建設は、日本コンクリート工業とCO2を大幅に削減できる環境配慮型コンクリートの共同研究に取り組み、「i-Construction」による作業の省人化とCO2削減を同時に実現する技術を開発した。場所打ちコンクリートにも適用できる。
大成建設が環境配慮コンクリを使用したシールドセグメントを開発、管路施設工事に適用
大成建設は、環境配慮コンクリート「T-eConcrete」を使用したシールドセグメント「T-eCon/Segment」を開発し、大阪府大阪市内で施工を進める下水処理場内の管路施設工事に導入している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.