鹿島建設が162mのビルを新工法で解体、粉じんの飛散と騒音への対策を実現:施工(2/2 ページ)
スラブ切断兼吊上げ治具は、大割りブロックを効率良く揚重するため、スラブの切断時に必要な荷重受けの機能と吊り上げる際に必要な曲げ破壊を防止する機能を兼ね備えており、使用することで、ブロックを大型化でき揚重回数の削減につなげられる。
荷重受けと曲げ破壊の防止を兼ねる「スラブ切断兼吊上げ治具」 出典:鹿島建設プレスリリース
4点自動吊上げ装置は、大割ブロックを水平な状態で揚重し、利用することで、作業員の高所作業を低減するとともに、地上階に吊り下す際の大割りブロックにおける姿勢を遠隔操作で制御し、安全に着地させられるため、搬出作業時間を短縮する。
ブロックを水平に吊上げる「4点自動吊上げ装置」 出典:鹿島建設プレスリリース
スラブ切断ノロ水脱水装置は、斜め切断カッターでスラブを切断する際に生じるノロ水のろ過と脱水を行い、ノロ水を脱水ケーキにすることで廃棄物を削減し、ろ過と脱水後の回収水は再生水として循環させ、スラブ切断に再利用できる。
「スラブ切断ノロ水脱水装置」 出典:鹿島建設プレスリリース
さらに、粉じんの飛散と風散に伴う全ての作業を、外壁で囲まれた建物内部の密閉空間内で完結させることで、外部への粉じんの飛散と風散を抑えられる他、建物を大割りブロックに切断してタワークレーンで吊り取り、建物内部に設けた開口部から吊り下ろして解体していくため、吊荷が風の影響を受けることはなく、外部へのコンクリート片などの落下リスクを最小限にする。
建物頂部における粉じん飛散のシミュレーション 出典:鹿島建設プレスリリース
加えて、騒音が発生するスラブの切断は、あらかじめ外壁で囲まれた建物内部の密閉空間で行い、階上の作業は梁(はり)や外壁を溶断で解体するだけとなるため、建物上方で騒音が生じることがなく、近隣のビルに伝わる騒音を抑えられる。
環境配慮に関して、鹿島スラッシュカット工法では、建物を大割りブロックに切断して解体していくが、切断作業には重機を使用しないため、CO2を排出する重機の稼働数を減らせるだけでなく、切断作業に使用する燃料は、アセチレンの代わりに水素とエチレンの混合ガスにすることでCO2の削減を実現する。
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