空き時間に動画で建設業の職業訓練、BuildWittが米国でトレーニングプラットフォームを提供開始現場教育

米・BuildWittは、建設業界の現場作業員向けに、施工手順などを解説した動画による現場教育サービスを米国で開始した。

» 2022年06月27日 12時00分 公開
[谷川整BUILT]

 米・テネシー州ナッシュビルに所在するBuildWitt(ビルドウィット)は、現場の建設業務を担う従業員を効率的に教育するトレーニングプラットフォーム「BuildWitt」を米国で発売すると2022年6月6日に発表した。トレーニングは、現場作業員など主要な5職能を対象に、断片化されがちな教育に一貫性を持たせつつ、スキル習得を図る学習管理システム。2022年6月中に米国内でローンチし、現在では350以上のビデオレッスンとマイクロラーニングアプリの教育プログラムを提供している。年内には、さらに数百のビデオレッスンを追加する予定だという。

現場を離れずに空き時間で学習が可能に

 同社幹部によると、これまで学習管理システムは、管理職や事務職向けのコンテンツが主流で、建設業界の要求には十分応えられなかったという。CEOのアーロン ウィット(Aaron Witt)氏らは2018年の会社設立直後、米国内の建設系企業にヒアリングを重ねた。その結果、「請負業者は新入社員をできるだけ早く、一人前にしなければならないと訴えている。しかし、現状では新入社員は十分なトレーニングを受けないまま現場に出て、社員はプロジェクトに集中する時間を割いて新入社員を教えている。加えて、ベテラン社員は成長のための明確な道筋を持っていないことも多い」と実感。そこで、実地体験によるOJTをさらに強化させるためのトレーニングプラットフォーム「BuildWitt」を構想した。

 対象となるのは、同国内の現場作業員、品質管理者、配管工、建設機械のオペレーター、現場監督に相当する建設の技術者と技能者。基本パッケージでは業界の基本や安全性、役割と責任、業務のコツといったトピックスを網羅し、業界の各専門家が講義を担当するトレーニング用のビデオを350ほど用意している。さらに、eラーニングよりも短い時間で学習するマイクロラーニングのアプリ「BuildWitt Training」では、短時間の動画と学習レベルを確認するクイズも配信。Webまたはモバイル端末からいつでも利用可能で、管理者は従業員の使用履歴やスキルレベルを把握できる。他業種では、既に同様の教育システムが展開されているが、米国の建設業界では初の試みと謳(うた)っている。

 BuildWittは今後の展開として、多言語対応、職種の追加などを直近で予定しており、他にも週毎のトレーニングクラス開催、子供や大人向け建機シミュレーターの提供、最終的には本社にDIRT(デモンストレーション、インスピレーション、リサーチ、トレーニング)をテーマにした施設の建設も計画している。

「BuildWitt」が対象とする6つの建設業務 出典:BuildWitt Website

 また、プログラムに組み込まれた数百にも及ぶオプションを利用することにより、ユーザー自身によるカスタマイズが可能。独自の動画をアップロードしたり、クイズや評価基準を作成したりして、バラバラに散逸している社内の教材をBuildWitt Trainingに統合できる。

 BuildWittは今後の展開として、多言語対応、職種の追加などを直近で予定しており、他にも週毎のトレーニングクラス開催、子供や大人向け建機シミュレーターの提供、最終的には本社にDIRT(デモンストレーション、インスピレーション、リサーチ、トレーニング)をテーマにした施設の建設も計画している。

「BuildWitt Training」 出典:BuildWitt Website

 BuildWittは発売前から60社以上の導入例があり、利用者が24時間365日、日時や時間に縛られず、ダウンタイムや雨天の工事遅延の待ち時間などに、数分で学習を蓄積できる点が高い評価につながった。「多くの学習管理システムは、一日中机の前に座っている人たちのためにコンテンツを作っている。しかし、(BuildWittであれば)従業員が現場から離れることなく、毎日少しずつ学習する機会を与えられる」とPRする。

 利用料は、2ユーザーライセンスで年間3000ドル(ベーシックパッケージ)から、500ユーザーライセンスで年間5万1000ドル(エンタープライズパッケージ)までの計5パターンを用意している。

 BuildWittは今後の展開として、多言語対応、職種の追加などを直近で予定しており、他にも週毎のトレーニングクラス開催、子供や大人向け建機シミュレーターの提供、最終的には本社にDIRT(デモンストレーション、インスピレーション、リサーチ、トレーニング)をテーマにした施設の建設も計画している。

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