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» 2022年05月19日 09時00分 公開

生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便に定量評価する手法を考案、西松建設施工

西松建設は、岐阜大学 工学部 小林孝一教授との共同研究で、施工前に生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便な方法で定量的に評価する手法を考案した。今回の手法は、現場に持ち込んで扱える小型の評価試験器を製作し、容器内に詰めたコンクリートに振動エネルギーを加えた時に生じる電気伝導率の経時変化で材料分離抵抗性を評価する。現在、同社では、現場での実装に向けて、データの採取、判定精度など、生コンクリート評価の妥当性に関する検証を続けている。

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 西松建設は、岐阜大学 工学部 小林孝一教授との共同研究で、施工前に生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便な方法で定量的に評価する手法を考案したことを2022年4月26日に発表した。

一連の計測は作業員1人で行え容器にコンクリートを投入後結果の出力まで約2分

 近年、建設業では、省力化と省人化を図れる施工の取り組みが行われており、コンクリートの打ち込み作業でも、施工性が良好で流動性の高いコンクリートの需要が増えている。しかし、高い流動性を持つコンクリートは、骨材やモルタル、水などの材料分離によって品質が損なわれることがある。

 コンクリートの材料分離は、局所的に骨材が集中することや水分が移動しコンクリートが不均一になることを指し、強度、耐久性、水密性のダウンにつながり、コンクリートの品質低下となる要因の1つだ。解決策とされている通常の材料分離評価は、経験者による目視での判断に依存することが多く、評価結果は経験者の力量によって左右され、定量的な評価方法は確立していなかった。

 そこで、西松建設は、岐阜大学との共同研究で、今回の手法を考案した。新たな手法は、容器に2基の小型電気伝導率センサーを装着した評価試験器を使用し、加振に伴う生コンクリート内における電気伝導率(EC)の経時変化を数値化することで材料分離抵抗性を評価する。

「材料分離測定装置」 出典:西松建設プレスリリース

 これにより、今まで目視で判断していた材料分離抵抗性を現場で簡便かつ定量的に評価し、締固め不足や材料分離によるトラブル発生が抑制され、コンクリートの品質向上が期待される。

実際の計測画面 出典:西松建設プレスリリース

 さらに、測定・評価方法は、試験器に投入した生コンクリートをバイブレータで加振し、ECの変化しやすさ、言い換えれば生コンクリート内部における材料の移動しやすさを数値化する。加えて、容器内の上下に設置されたセンサー周囲のECを1秒ごとに計測し、それらのEC変化率がしきい値に達するまでの時間で材料分離抵抗性を評価。

加振中の生コンクリートの電気伝導率(EC)の計測データの例 出典:西松建設プレスリリース

 試験方法に関しては、試験機の容器に高さ400ミリまでコンクリートを投入し、ECの計測を開始する。次に、規定のバイブレータを用いて60秒間の加振を行い、加振中におけるECの変化率を用いて材料分離を評価。一連の計測は、作業員1人で行え、容器にコンクリートを投入後、結果の出力まで約2分と短い。

 具体的には、従来の経験者による目視での判断という漠然とした評価とは異なり、未経験者でも材料分離を定量的に評価することが可能な他、複雑な作業を必要とせず、作業員1人で材料投入から試験完了まで2分程度で結果を出力する。

実際の計測状況 出典:西松建設プレスリリース

 加えて、携帯端末と制御装置部をWi-Fi接続することで、携帯端末を用いてワイヤレスでデータを確かめられるだけでなく、試験器は現場での作業性を考慮した重量の約5キロで、高さは450ミリとなっており、現場内の必要な場所に持ち運び測定がで行え、市販のモバイルバッテリーによる計測にも対応している。

 今後は、各社が保有するプラントの協力を受け、実配合レベルの多種多様な生コンクリートのデータを採取し、判定精度の向上に努めるだけでなく、西松建設の現場で生コンクリート評価方法の1つとして品質管理に役立て、社外にも広く展開していく予定だ。

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