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» 2022年04月26日 14時00分 公開

建築確認で用いたBIMデータなどを生かしたリモート中間検査システムを開発、清水建設BIM

清水建設は、建築確認で利用したBIMデータやAR技術、リアルタイム映像伝送技術を生かしたリモート中間検査システムを、積木製作の協力を得て開発した。システム開発では、日本建築センターと推進している、BIMデータを活用した建築確認申請業務の効率化を目指すとともに、建築基準法で定められている現場での目視検査や工事監理状況といった書類検査の効率化と確実化を目標に掲げた。

[BUILT]

 清水建設は、建築確認で利用したBIMデータやAR技術、リアルタイム映像伝送技術を生かしたリモート中間検査システムを、積木製作の協力を得て開発し、日本建築センター(BCJ)とシステムの有効性を検証したことを2022年4月21日に発表した。

タブレットの画面上に中間検査に必要なデータを全て表示

 清水建設は、BCJ協力の下、BIMデータを活用した建築確認申請業務の効率化に2020年から取り組んでいる。第1ステップとして、BIMデータをそのまま確認申請の事前審査に使える「BIMデータによる建築確認システム」を開発し、埼玉県三郷市にある三愛会総合病院の設計で有効性を検証した。

 今回は、第2ステップで、建築確認で活用したBIMデータをそのまま利用して、中間検査をリモート(遠隔臨場)化するシステムの開発を行った。構築したリモート中間検査システムは、構造部材の検査を対象にしており、部材の形状情報と性能情報の整合確認、施工状況のチェック、書類検査を支援するといった4つの機能を備えている。

「リモート中間検査システム」のイメージ 出典:清水建設プレスリリース
「リモート中間検査システム」によるリモート中間検査の方法(4つの機能) 出典:清水建設プレスリリース

 具体的には、BIMデータをそのままリアルタイムに3Dで可視化するUnity製「Unity Reflect」やAR技術を活用して開発した確認検査システム、AR画像を遠隔地に伝送するレスターコミュニケーションズ製の「クラウド映像転送システム」で構成されており、書類検査はAutodesk 製のクラウド「BIM 360」に保存されている報告書類を活用する。

 加えて、タブレットの画面上に表示する検査に必要な各種画像データや書類データを検査員が目視で確かめられるとともに、タブレットの画面情報をリアルタイムに遠隔地と共有できる。

「リモート中間検査システム」によりタブレットに表示される画面 出典:清水建設プレスリリース

 タブレットに表示するデータは、タブレットで捉えた現場のリアルタイム映像、建築確認で利用したBIMデータ、2次元の写真群データからフォトグラメトリー※1により生成した3Dモデル、BIMのパーツにひも付けた写真や帳票などの各種書類データ。

※1 フォトグラメトリー:被写体をさまざまなアングルから撮り、そのデジタル画像を解析して、統合し立体的な3DCGモデルを作成する手法。デジタルカメラを用いた3次元測定機に応用されている。フォトグラメトリーは3Dスキャナのような特殊な機器が不要で、通常の写真だけで生成できることが特徴である。

 システムによる部材形状情報の整合確認では、構造部材のリアルタイム画像上に当該部位をイメージしたBIMの3次元画像を重ね合わせたAR画像を表示する。一方、性能情報の整合確認では、AR画像における特定の部材をタップすることで、当該部材の性能に関するBIMの属性データと検査報告書データを表示。

 施工状況の確認では、フォトグラメトリーにより生成した3Dモデルをリアルタイム映像に重ねて表示する。書類検査では、検査対象の部材パーツにひも付けた写真や検査帳票などの書類データを表示。いずれの表示データも検査員が目視で確認・検査する。

 このように、タブレットの画面上に中間検査に必要なデータが全て表示されるので、設計者が行う検査対応業務の効率化と検査員によるチェックの確実性が高まる。

 また、清水建設は、BCJの協力を得て、三愛会総合病院で、従来の中間検査後に任意の中間検査としてリモート中間検査システムによる検査を併せて実施した。その結果、BCJは「検査のリモート化には法改正が必要だが、遠隔地からも現場にいる感覚で検査できる」と評価している。

 今後は、第3ステップとして、完了検査のリモート化に向け、建築仕上げや設備に対応したシステム構築に取り組む。さらに、各作業員が遠隔地にいてもタブレットの画面を共有可能なためリモートでの検査が行える点を踏まえ、将来は現場に来場する設計者や検査員の人数削減に役立てていく。

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