中野区は、エリア交通の中枢を担い1日約15万人が利用するターミナル中野駅の再整備にも乗り出している。区は2014年6月、JR東日本や東京メトロと中野駅西側南北通路・橋上駅舎の事業について基本協定を締結。2020年4月に本格着工し、2026年12月頃までの工期で進めている。計画では、周辺の開発プロジェクトと協調しながら、現駅舎から中野通りを挟んだ西側に、新改札と南北通路を設置し、橋上駅舎に新たな人流の軸を形成する。
基本設計は、JR東日本コンサルタンツとJR東日本建築設計事務所。実施設計には鹿島建設が加わり、施工も同じく鹿島建設。計画は敷地面積約7700平方メートルに対して、建築面積が約6500平方メートル。建物はS造/一部CFT造の地上5階建て(塔屋1階)、延べ床面積は約1万8500平方メートルとなる。駅施設の他、物販店舗や飲食店が入居するいわゆる「駅ビル」となる。
既存の中野駅南口・北口に加え、西側には新たな橋上駅舎と、延長約80メートル、幅員19メートルの南北通路を設置する。中野駅新北口エリア(後述)など、南北の駅前広場と一体的に整備することで、歩行者の利便性や回遊性を確保することが狙いだ。ちなみに建築基準法では、原則的に道路の上下に建物を建築することができないが、駅ビル、南北通路、橋上駅舎を市街地環境の確保などに必要な施設とみなし、「立体道路制度」の条件に適合させて開発することで規制をクリア。2021年度の工程は、「人工地盤杭打設」「人工地盤鉄骨架設」「スラブコンクリート打設」を行う。
東京都は2020年9月、三井不動産レジデンシャルと地権者で形成している「囲町東地区市街地再開発組合」の設立を認可した。事業推進コンサルタントには佐藤総合計画を迎え、「囲町東地区第一種市街地再開発事業」を推進。総事業費は約665億円を見込み、2021年11月には本体工事に着工し、2024年度末の完成を目指している。
囲町東地区のプロジェクトは、中野区中野4丁目地内の土地約2.0haをA/Bの2敷地に分けて、計3棟を建築する。事業地域の東側にあたる中野駅寄りのA敷地は、北に四季の都市、南にJR中央線沿いの幹線街路補助線街路第221号線に面している。同地には商業施設とオフィスから成る複合棟と住宅棟の2棟を建て、低層部の商業施設でつなげる。建物は地下2階・地上24階建て。また、事業地域の西側のB敷地には、約720戸の地下1階・地上20階建ての住宅棟を新設する。
構想では、事業全体で住宅・商業・オフィスが一体となった“ミクストユース型”の再開発を標榜(ひょうぼう)する。中野駅の新北口駅前広場側には、商業施設メインエントランスを整え、敷地内にペデストリアンデッキなどの歩行者動線を計画し、駅前の活気を積極的に取り込む。また隣接する「囲町ひろば」と一体的な広場を形成し、防災機能や回遊性も拡充する。
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