“100年に一度の街づくり”を進める「中野駅前再開発」の概況プロジェクト(1/5 ページ)

本稿では、東京の賑わいを担う街として、“100年に一度”の街づくりでさらに発展が見込まれる「中野」駅周辺地域の再開発計画について、複数資料からこれまでの経緯と今後の見通しを紹介する。

» 2022年03月11日 06時18分 公開
[谷川整BUILT]

“手ごろ”なだけではない中野エリアの潜在能力

 東京23特別区の西部に位置する中野区――。古くは、江戸に極めて近い農業の拠点として“八百八町”の胃袋を満たしてきたが、近代に入ってからは軍隊や警察の城下町として新たな活気を見せた。現在ではサブカルチャーの「聖地」として広く知られ、アニメやゲームをはじめ多くのエンタメ産業が集積し、国外でも認知されるなど、長いスパンで変容する世界都市・東京の諸相をうかがわせる魅力的な街となっている。

 中野区は、各方面への路線バスが発着または経由する他、区内のほぼ中央でJR中央線・東京メトロ東西線、北部で西武新宿線、南部で東京メトロ丸の内線などの多数の路線が走っており、交通利便性が高い。いずれの沿線も都心に隣接したカルチャーや企業活動の発信地としての特色を持ちながら、商業施設と飲食店が多く軒を連ね、学生や単身者にも住みやすい街としての側面を持っている。そんな中野区の経済・文化・行政――あらゆる意味でその中枢を担うのがJR中央線・東京メトロ東西線などが乗り入れるターミナル「中野」駅だ。

グランドデザインがこじ開けた「聖地」大改造論

 中野駅周辺に関しては、長らく文化発信の顔として文化人を惹(ひ)きつけてきた複合施設「中野サンプラザ」の建て替え発表が記憶に新しいのではないだろうか。発表に続き、公私ともに惜しむ声が表明されたことは、将来形づくられる“新生・中野”のインパクトを先取りした反響に他ならないだろう。

 中野サンプラザのリニューアルに代表されるように、中野駅周辺では現在、「100年に一度」ともいわれる大規模な再開発事業が複数計画されている。当時の田中大輔区長が2012年6月に策定した「中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3」(GD3)をベースにした実に足かけ10年に及ぶ一大プロジェクトだ。

 GD3は、中野駅周辺で「多様な都市機能を集積した“東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点“」の形成を掲げている。対象範囲のほぼ中心部に中野駅を据え、東西をJR中央線・東京メトロ東西線ラインと、南北を「中野通り」の都道420号線(鮫洲大山線)ラインで交差する周囲4つのブロック、すなわち中野2丁目(南東)、3丁目(南西)、4丁目(北西)、5丁目(北東)のほぼ全域と、中野2丁目の南東端で接する1丁目の一部を含み、その区域面積は約110ヘクタールに及ぶ。このエリアに、「最先端の業務の拠点」や「個性豊かな文化の発信拠点」「最高レベルの生活空間」を整備する予定。

グランドデザインver3の策定範囲 出典:「中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3」

 GD3の計画期間は2031年までで、2022年現在は、ようやく折り返し地点を通過しただけで、中野の変容からまだ目が離せない状況は続きそうだ。

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