大規模な土木現場に電動キックボードを導入、清水建設導入事例

清水建設は、敷地面積が広大な土木工事現場を対象に電動キックボードを導入することを公表した。第1弾として、同社が福岡県福岡市内で施工中の「UR箱崎南雨水幹線築造工事作業所」に試験導入し、利用者から好評を得ている。

» 2022年03月10日 09時00分 公開
[BUILT]

 清水建設は、現場敷地内での移動に伴う負担軽減を目的に、敷地面積が広大な土木工事現場を対象に電動キックボードを導入し、現場内の移動に活用することを2022年2月24日に発表した。

電動キックボードの最高速度は25キロに制御

 電動キックボードは、モーターとバッテリーを搭載したマイクロモビリティで、電動型の新たな乗り物として注目されている。さらに、都市部で普及すれば、交通渋滞の緩和にもつながることから、福岡県福岡市などの自治体では、公道を使った電動キックボードのシェアリングサービスについて、有効性を実証する実験を始めている。

 一方、広大な敷地を有する土木工事現場では、現場内の移動が作業を効率化する上で課題の1つになっている。例えば、徒歩や自転車は環境負荷がかからない移動手段だが、移動者の体力を消耗し、相応の移動時間もかかる。加えて、自動車は便利だが、環境負荷とコスト面に問題がある。

 そこで、清水建設は、快適に移動でき、エコでコスト負担が少ない電動キックボードに着目して、現場への試験導入を進めることにし、第1弾として、同社が福岡市内で施工中の「UR箱崎南雨水幹線築造工事作業所」に試験導入した。

 UR箱崎南雨水幹線築造工事作業所は、移転した九州大学の広大な跡地(福岡市東区)が現場敷地になっており、事務所と現場は1キロ近く離れている。この距離に関して、作業員からは「歩くと10分はかかる」「自転車なら3分だけど何度も往復すると疲れる」「車なら1分。でも車までは」といった声が寄せられている。現場では、常駐している7人の清水建設従業員のうち5人が頻繁に両地点を往復することから、5台の電動キックボードを導入し、敷地内での移動に活用している。

現場で電動キックボードを利用する作業員 出典:清水建設プレスリリース

 電動キックボードの導入に際しては、機体が備えているGPSと通信機能を活用し、最高速度を自転車の平均的な速度より10キロ程度速い25キロに制御し移動を効率化するとともに、走行に適さないエリアではアクセルを無効化し、車体を停止する設定にした。また、乗車回数、移動距離、乗車時間といった移動データの取得を進めている。

 今後は、土工事やシールドトンネル工事など、他工種の現場への試験導入も推進し、現場敷地での移動に伴う負担を軽減するとともに、工種別に取得した移動データの可視化・分析を進めることで、作業所内での人の移動に伴う課題を抽出し、現場運営の効率化、働き方改革に結び付けていく。

「UR箱崎南雨水幹線築造工事作業所」の概要 出典:清水建設プレスリリース

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