施工中の攪拌翼先端位置を高い精度で確認できる新たな計測システム、安藤ハザマら : 地盤改良 (2/2 ページ)
大深度先端位置計測システムで採用した傾斜計は、分解能が0.01度と高精度仕様で、安藤ハザマが地上で行った精度確認試験では、計測誤差を0.1度程度以下(深度40メートルに対して誤差7センチに相当)に抑えられることを確認した。さらに、測定は一定間隔での使用と任意のタイミングにおける利用から選べ、リアルタイムにロッドの姿勢と変位量を調べられる。
また、安藤ハザマが開発した杭・地盤改良施工情報可視化システムに大深度先端位置計測システムを連携させることで、設計座標に対する先端位置の変位量をリアルタイムに可視化する。杭・地盤改良施工情報可視化システムは専用のクラウドを活用し、施工中のロッド先端位置やあらゆる施工情報をリアルタイムにオペレーターと工事関係者が共有することができる。加えて、施工管理基準値を設定し、任意の値を超えた場合には関係者に異常を早期に通知し、施工上のリスクを減らせる。
「杭・地盤改良施工情報可視化システム」による3Dリアルタイム施工情報の可視化 出典:安藤ハザマプレスリリース
安藤ハザマは、2021年4〜12月に行われた深層混合処理工による既設盛土の安定化対策工事に大深度先端位置計測システムを初適用した。導入した工事は、改良径がφ1600ミリで、最大改良深度は42.4メートル、改良体本数は約1400本と大規模であるとともに、改良下端部には供用中の水路トンネルが存在するため、所定の離隔を確保した施工が求められた。
そこで、大深度先端位置計測システムによるリアルタイム測定を用いた結果、設計位置に対する施工時における先端位置のずれは最大で40センチ(鉛直傾斜100分の1以下)に収まり、水路トンネルへの影響もなく安全に施工を完了した。
「杭・地盤改良施工情報可視化システム」による設計座標に対する先端位置の変位 出典:安藤ハザマプレスリリース
CIMモデルに地盤改良の施工管理情報を統合、五洋建設
五洋建設は、既設構造物などのCIMモデルに地盤改良の施工管理情報を統合するシステム「Gi-CIM(Ground Improvement Construction Information Modeling)」を実用化させた。既に曲がり削孔式浸透固化処理工法を用いた地盤改良工事に適用し、フロントローディングによる施工精度の向上や3Dモデルを用いた効率的な現場管理を実現した。
新たな噴射機構で攪拌性能の向上と施工の高速化を実現した機械攪拌式地盤改良工法
安藤ハザマらは、機械攪拌式地盤改良工法に新たな噴射機構を備えることで、攪拌性能の向上や施工の高速化、コストカット、環境負荷低減を実現した多方向スラリー揺動攪拌工法「WILL-m工法」を開発した。
地盤改良工事の“施工位置”と“工事進捗”をリアルタイムに見える化、BIMとの連携も視野に
東急建設とテノックスは、地盤改良工事を対象に施工位置情報と、施工機械から得られる施工情報を、リアルタイムで一元管理可能な施工管理システムを共同開発した。既に東京都市大学の学生寮新築工事に試験導入し、工事立ち会いのタイミングロス低減に効果があった他、施工中の計画変更にも迅速に対応できることが確認された。今後は、BIMモデルと施工管理システムを連携させ、維持管理や更新時の設計にも活用できるシステム構築を目指すという。
超硬質地盤の改良工を実現する新工法を開発、CIMとの連携で地盤工事“見える化”も
不動テトラとソイルテクニカは、超硬質地盤の改良を実現する「CI-CMC-HG工法」を開発した。新工法は、大径深層混合処理工法「CI-CMC工法」に貫入能力を高める機能を付加した技術で、適用地盤の拡大と支持層への確実な着底施工が可能となる。BIM/CIMの施工管理システムとも連携し、地盤工事の可視化や施工結果の3次元モデル作成に活用できる。
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