西松建設がシールドトンネルCIM管理システムを開発、掘進と3次元の地質情報を可視化山岳トンネル工事

西松建設は、シールド自動解析診断システム「NS-BRAINs」で集積した掘進情報と3次元の地質情報を一元管理し、汎用的な3次元ビュワーソフトを基に、簡便な操作性で詳細な施工情報の閲覧と共有が行えるシールドトンネルCIM管理システム「NC-ShiONS」を開発した。

» 2022年01月24日 09時00分 公開
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 西松建設は、シールドトンネル工事のCIMを効率的に活用するために、シールドトンネルCIM管理システム「NC-ShiONS」を開発したことを2021年12月22日に発表した。

NS-BRAINsで集積した掘進情報と3次元の地質情報を一元管理可能

 シールドトンネル工事では、複雑な地質、計画路線上にある多数の既往施設、既設の埋設物などへの影響を配慮しつつ施工する必要があり、「施工計画」と「施工管理」が重要となる。そこで、西松建設では、施工管理に地質情報を使用するために、事前に得られる地質図面などを基に詳細な3次元地質モデルを作成可能な地層科学研究所製ソフト「Geo-Graphia」を導入し、掘削区間における地質変化の予測と評価を行ってきた。

 しかし、西松建設が利用しているシールド自動解析診断システム「NS-BRAINs」とは独立してGeo-Graphiaを運用していたため、必要なデータの抽出や動作遅延といった操作性が課題となっていた。

 解決策として、西松建設は、NS-BRAINsで集積した掘進情報と3次元の地質情報を一元管理し、汎用的な3次元ビュワーソフトを基に、簡便な操作性で詳細な施工情報の閲覧と共有が行えるシールドトンネルCIM管理システムのNC-ShiONSを開発した。

 NC-ShiONSは、NS-BRAINsと連携して活用することで、事前に作成した3次元地質モデルに、施工中に得られた多様な掘進データを自動でインポートし、一元管理することができる。

「NC-ShiONS」の概念図 出典:西松建設プレスリリース

 上記の利点により、汎用的な3次元ビュワーソフトで現在の施工状況や地質情報などを3次元的に見える化し、地質変化の予測や情報共有が行えるようになり、シールドトンネル工事の効率化と安全性向上を後押しする。

 NC-ShiONSの導入効果は、施工計画では、事前調査による地質情報(地質断面図、ボーリング情報など)から詳細な3次元モデルを作れ、切羽面の地質変化に伴う加泥材の添加量設定などで施工パラメータの検討や排土処理を行う際に、最適な計画を立てられる。

 さらに、掘進中は、複数のシールド掘進情報を一元化し、設計図面における埋設物との離隔距離や計測情報をNC-ShiONSで表示することで、接近状況と周辺の地質状況に応じて計測情報の見直し、施工方法の再検討により、生産性と安全性の向上を図れる。

 また、NC-ShiONSで各種データを一元管理可能なため、施工全体における品質のトレーサビリティーを確保しやすくなり、画像などの詳細な記録を残すことで、竣工後の維持管理に役立つ。

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