西松建設は神奈川県内のシールドトンネル工事に、専用のCIMを導入した。シールドトンネルCIMは、施工計画・施工管理の効率化を目的に開発したもので、導入先の工事で実際の効果を検証する。
西松建設は2018年04月25日、シールド工事を対象としたCIM(Construction Information Modeling/Management)を構築し、神奈川県内で施工中の横浜湘南道路トンネル工事に導入したことを公表した。
一般的にシールドトンネル工事は、大断面かつ複雑な地質を扱う工事で、計画路線上に多数の既往の施設があることが多く、構造物への影響に配慮しつつ施工する必要があるため、慎重な施工計画と施工管理が必要とされる。
西松建設が開発したシールドトンネルCIMは、掘進・計測情報をCIMへインポートすることで、高精度3次元地質ソフトにより、3Dモデルを作成。任意の地質断面を表示すれば、掘削区間毎の地質割合の予測や地質変化に応じたパラメータの事前検討に生かせる。
また、区間毎の複雑な地質変化を予測することができるため、地質変化に伴う加泥材などの添加量設定など、施工パラメータの検討や排土処理の最適な施工計画にも役立つ。
3Dモデル上での地下構造物とシールド機との干渉有無や離隔距離、位置関係の確認により、構造物の撤去方法や施工中の影響なども確認が可能になるため、協力会社などとの施工方法に関する協議や合意形成の迅速化につながるメリットもある。
施工管理面でも、CIMに取り込む掘進・計測データなどの施工情報と地質情報との対比により、施工状況を総合的に評価して管理する体制が実現する。
西松建設では、地質・周辺環境の構造やさまざまな施工情報から、総合的に施工状況を評価できるCIMの利点を活用し、他工種への展開と、一連の建設事業の生産性・安全性の向上にも努めていくとしている。
担当者は、「まだ掘進開始して間もないため、施工しながら工期短縮なども含め、CIM導入の効果検証を進めていく。導入の目的は、施工計画と施工管理での職員・作業員の作業効率化で、結果的に手戻りやトラブルなどをなくすことで工期短縮につながることを期待している」と話す。
建設業のCIM普及については、「今後、設計データが3次元化されて、発注者に引き渡されるため、施工者側では各工種において設計・計画の段階から3次元モデルの活用が進んでいくと考えている」とコメントした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.