第一生命保険、竹中工務店、札幌駅前通まちづくりの3社は、北海道札幌市中央区でプロジェクトを進めていた「旧・札幌第一生命ビルディングの建替計画」が本格始動したことを公表した。旧・札幌第一生命ビルディングの建替計画は、2020年度に見直しが行われた「札幌駅前通北街区地区 地区計画」に新設された容積率緩和ルールを適用した最初期の開発案件となる。札幌駅前通まちづくりでは、今回の事例をアーカイブ化し、協議プロセスの定着・高度化や、他地域への普及活動にも取り組んでいく。
第一生命保険、竹中工務店、札幌駅前通まちづくりの3社は、北海道札幌市中央区で「旧・札幌第一生命ビルディングの建替計画」により開発を進めていた複合施設「D-LIFEPLACE 札幌」が着工したことを2021年12月6日に発表した。
D-LIFEPLACE 札幌は、最高高さ約60メートルの地下1階/地上13階建てで、地下鉄「さっぽろ」駅直上の交差点に新たなビジネス拠点を整備するもの。具体的には、1日に約12万人が往来する「札幌」駅前通りの地下歩行空間「チ・カ・ホ」と光や緑が感じられるD-LIFEPLACE 札幌のオープンスペースを接続し、施設の利用者や来街者、札幌市民に賑(にぎ)わいと憩いの場を提供する。
オープンスペースは、72時間使える非常電源を備えており、災害時に100人の避難者を受け入れる場所とし、札幌市の安全性強化に役立てる。加えて、チ・カ・ホと地上の札幌駅前通りをつなぐとともに、札幌駅前通まちづくりの知見を生かして、劇場型の空間構成とし、新たなスタイルの地域イベントを開催可能とする。
建物は、地下1階〜地上1階が店舗エリアで、2〜13階がオフィスフロアとなる見通しだ。建物の形状は、北海道では冬期に屋内から屋外への熱のロスを抑制することが環境性能向上のポイントとなることを踏まえて、高層階に設置する窓の開口面積を抑えつつ、快適な居室環境を確保する縦スリット型に仕上げる。
併せて、外殻ダブルコラムの採用など構造計画の工夫で、オフィス専有部は窓側に柱型を無くし、レイアウトしやすいものとする。一方、高層階の共用部は、階段と一体で明るく開放的なリフレッシュスペースを設け、入居者のコミュニケーションや健康増進、多様化する働き方に応じる。
上記の建築デザインを採用することで、「CASBEE-スマートウェルネスオフィス(Sランク)」と「ZEB-Oriented」に相当する高水準の環境とウェルネス性能を搭載する。なお、第一生命は、再生可能エネルギー100%の電力使用を推奨する団体「RE100」の加盟企業として、新施設でも再生可能エネルギー由来の電力調達に向け検討を進めている。
工事現場の仮囲いでは、新施設低層部の形状をイメージしたウォールアートを2021年7〜12月に展示し、12月からは札幌駅前通りで開催されるイベント「Sapporo Parallel Museum」の情報発信を行っている。
D-LIFEPLACE 札幌のオープン後は、第一生命保険と竹中工務店が持つリソースを活用し、入居テナントとの協業や「健築」をテーマとした健康支援プログラムの実証実験などを継続的に検討・実施していく予定だ。
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