パナソニック ハウジングシステム事業部は、アブラヤシ廃材の「再生木質ボード化技術」を開発した。今後は日本国内家具市場への導入に取り組む。具体的には、2022年春に、国内家具製造業者へ再生木質ボードを提供し、大塚家具、東京インテリア家具と協働して受容性検証を開始する。2023年度以降は、建材市場へも用途を拡大し、さらに海外市場へと展開していく予定だ。
パナソニック ハウジングシステム事業部は、アブラヤシ廃材の「再生木質ボード化技術」を開発したことを2021年11月15日に発表した。当日には都内で記者発表会を開いた。
会場では、パナソニック ハウジングシステム事業部 イノベーション本部 副本部長 足立真治氏がアブラヤシ廃材の再生木質ボード化技術について説明した。
環境省が2014年に公表した「IPCC第5次評価報告書」によれば、CO2やメタンガスといった温室効果ガスの排出量は、世界中で増加傾向にあり、温暖化を防ぐために、CO2を吸収する森林の保護や対策が求められている。温室効果ガスのなかでもメタンガスは、温室効果がCO2の約25倍とされている他、対処法が少ないため排出量を減らすことが必要となっている。
また、アブラヤシの果実から採取されたパーム油は、商業作物としてマレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国で栽培されているが、25〜30年の収穫期間後に伐採されたアブラヤシ廃材の多くは農園内に放置され、腐敗時にメタンガスを含む温室効果ガスが発生する。
そのため、アブラヤシ廃材の活用は温室効果ガス削減の有効な手段となる他、世界的に木材資源の減少が深刻化しており、未利用資源であるアブラヤシ廃材由来の再生木質ボードは木質ボードの代替品としても役立つ。
パナソニック ハウジングシステム事業部の足立氏は、「国内の企業がこれまでアブラヤシ廃材の再生木質ボードを事業化することが難しかった理由は、アブラヤシは水分が多く腐りやすく、無機成分の不純物を多量に含有し、異なる成分が混在して材料品質が安定しなかったからだ。加えて、アブラヤシを活用するためには、高コストのボード工場を開設しなければならないだけでなく、輸送と保管が難しいといった問題がある」と話す。
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