竹中工務店は、同社が開発した「建設ロボットプラットフォーム」やRice Robotics製の自律走行型配送ロボット、三菱電機製のエレベーターを活用し、建設現場の複数階でロボットによる資材配送を可能とするシステムの実証実験を行った。今回の実証では、BIMで配送ロボットの経路を設定し、エレベーターとの連動を実現して、複数階での自動配送を検証した。その結果、配送ロボットにより、軽材料の搬送や熱中症対策となるドリンクの運搬など、必要なものを必要な場所へ運べるとともに、360度カメラを搭載することで、工事進捗も確かめられることが判明した。
竹中工務店は、同社が開発した「建設ロボットプラットフォーム」を用いて、カナモトと共同で、配送ロボットと本設エレベーターをコントロールし、複数階でロボットによる資材配送を可能とするシステムを開発し、建設現場で実証実験を行い、有用性を確認したことを2021年12月9日に発表した。
今回の実証では、建設ロボットプラットフォームとアスラテックが国内で販売するRice Robotics製の自律走行型配送ロボット「RICE(ライス)」を使用した。建設ロボットプラットフォームは、BIMを用いて建物の地図を生成するため、独自システムで動作するRICEなどのサービスロボットに、手動操作で建物内の地図を読み込ませ、走行可能ルートを調整する必要が無い。
実証の手順は、まず2階建て建物1階の充電ステーションに設置されたRICEに、2階の所定位置まで資材を運搬するタスクを入力した。次に、建設ロボットプラットフォームの機能を用いて、RICEが、1階では充電ステーションからエレベーターまでを走行し、エレベーターに乗り込み、2階へ移動した後、2階ではエレベーターから降り、所定のエリアまで走り、搭載された資材ボックス内の資材を作業員に受け渡した。
タスクの終了後は、上述のルートで1階の充電ステーションに自律移動で戻った。加えて、走行ルートの資材や人をロボットが自ら障害物として判断し、避けるルートを自動で生成した。
また、活用した本設エレベーターは、三菱電機製のもので、仮設でIoT機器を取り付け、配送ロボットと連携させた。このエレベーターは、人が搭乗する時には従来のものと変わりなく使える。
さらに、ロボットが乗る際は、建設ロボットプラットフォームと三菱電機製のIoTプラットフォーム「Ville-feuille(ヴィルフィーユ)」が連携し、エレベーターをロボットの待機階に移動させ、ロボットが搭乗した後、目的階に運んだ。ロボットが降りた後は通常の運用状態に戻る仕様をエレベーターに採用した。
今後、竹中工務店では、建設ロボットプラットフォームを利用し、工事用エレベーターと大型資材搬送ロボットの連携を目指すとともに、建設時に利用したロボットや管理用の地図を建物引き渡し後も使えるようにしていく。
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